2010 Fiscal Year Annual Research Report
HIV-1感染小動物モデル開発の障壁となる宿主因子の解析
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22890144
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
池田 輝政 熊本大学, エイズ学研究センター, COE1リサーチアソシエイト (00588410)
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Keywords | APOBEC1 / 脱アミノ化 / HIV-1 / leucine-rich motif / dimerization domain |
Research Abstract |
APOBECファミリーのプロトタイプであるシチジン脱アミノ化酵素APOBEC1(A1)は、脱アミノ化酵素部位を1ヶ有し、ヒトにおいては小腸でのアポリポタンパク質B mRNAの部位特異的エディティングを行い、コレステロール代謝に関与する。我々は、HIV-1感染の小動物モデル候補であるウサギやげっ歯類において、A1が、HIV-1を含むレトロウイルスに対して、主に脱アミノ化依存的に抗ウイルス活性を示すことを世界で初めて明らかにした。この結果は、げっ歯類あるいはウサギなどの小動物では, A1がレトロウイルスの複製を抑制する自然免疫機構として機能しており、このことがHIV-1感染動物モデルの開発を阻害する要因の1つである可能性を示している。そこで本研究では、A1の抗HIV-1活性における責任部位を明らかにするため、抗HIV-1活性を持たないヒトA1と強力な抗HIV-1活性を持つウサギA1のキメラタンパク質を作製し、その抗HIV-1活性を解析した。HAタグを付加した14種のヒトとウサギA1のキメラ遺伝子を作製し、抗HIV-1活性を調べた結果、A1が抗HIV-1をもつためには触媒活性部位ではなく、leucine-richモチーフおよびdimerizationドメインを含むC末の領域が重要であることが示唆された。大腸菌を用いた系でDNA editing活性を解析すると、キメラタンパク質の抗HIV-1活性には、脱アミノ化活性が関係していることが示唆された。さらにこの結果をサポートするように、抗HIV-1活性を示したキメラタンパク質は、プロウイルスDNA中にGからAあるいはCからTへの変異が蓄積していた。また、抗HIV-1活性を示したキメラタンパク質は、示さなかったものと比較して、ウイルス粒子内に多く取り込まれる傾向があった。一方で、キメラタンパク質はすべて、主に核に局在し、特に異常な局在は示さなかった。したがって、ウサギA1のC末領域が、ウイルス粒子への取り込みや脱アミノ化活性に関わっており、HIV-1の感染性を阻害するために重要であると考えられる。
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Research Products
(10 results)