2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22890149
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
宮川 敬 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (20580046)
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Keywords | 分子生物学 / ウイルス学 |
Research Abstract |
真核細胞内におけるタンパク質の翻訳後修飾は、その機能調節に重要な機構の一つであるにも関わらず、ウイルスタンパク質が感染細胞内でどのような翻訳後修飾を受けるかについてはいまだ不明な点が多い。本研究課題ではヒト免疫不全ウイルス(HIV)がコードするウイルスタンパク質のうち、リン酸化によってその活性が制御されており、かつHIV粒子の産生・放出を促進する活性をもつViral protein U (Vpu)に着目し、そのリン酸化調節機構を明らかにすることで、翻訳後修飾とウイルス複製および病態との関連性について考察を行っている。Vpu欠損型HIVでは、GPIアンカー型タンパク質BST-2によって感染細胞膜上に繋留され、ウイルス放出が強く抑制されることから、VpuはBST-2を細胞内で不活化していると考えられている。またこの作用にはVpuの細胞内ドメインにある2つのセリン残基のリン酸化が必須であるが、これらのリン酸化・脱リン酸化の詳しい制御機構は不明である。平成22年度は、コムギ無細胞タンパク質合成系とアルファスクリーン技術を組み合わせたハイスループット検出系を用い、新規に13種類のリン酸化酵素がVpuと相互作用しうることを見いだした。遺伝子オントロジー法とsiRNAを用いた二次的スクリーニングにより、そのうち1種類の宿主因子がVpuのリン酸化を制御し、かっ実際にウイルス産生効率に影響している可能性が示唆された。非常に興味深いことに、この宿主因子の存在下では、Vpuのリン酸化が阻害されており、脱リン酸化状態が維持されていることが分かった。またこの宿主因子は脱リン酸化酵素の一種であるPP2Aとの結合親和性が認められ、PP2A阻害剤存在下ではこの宿主因子の効果が大幅に減衰したことから、PP2Aを媒介したVpuの脱リン酸化機構の存在が強く示唆された。
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Research Products
(2 results)