2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22890149
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
宮川 敬 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (20580046)
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Keywords | プロテオーム / ヒト免疫不全ウイルス / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)タンパク質が感染細胞内においてどのような翻訳後修飾機構を受けるかについてはいまだ不明な点が多い。そこで本研究課題では、HIVタンパク質のうち、とくにその翻訳後修飾がウイルス粒子の効率的な産生と伝播に重要だとされるVpuおよびVifタンパク質に着目し、それらの詳細な分子メカニズムの解明を目指した。本研究で新規に確立した次世代迅速スクリーニング系を用いて、約420種の翻訳後修飾関連酵素のうち13種類がVpuと、36種類がVifと相互作用しうることを新たに見いだした。このうちこれまで主な機能が不明であったSCYL2が、脱リン酸化酵素PP2A依存的にVpuを脱リン酸化(不活化)し、本来Vpuによって中和される抗HIV因子BST2の活性を相対的に高めることでHIV産生を顕著に阻害することを発見した。また、CD4陽性T細胞においてSCYL2が1型インターフェロンで発現誘導されることや、本宿主因子をノックダウンした細胞では1型インターフェロンの抗HIV活性が弱まることから、本宿主因子は1型インターフェロンの抗HIV活性における宿主側応答系の一員であることが示唆された。一方、Vifは抗HIV因子APOBEC3を分解することでHIVの増殖を促進するが、この現象を顕著に阻害する新規宿主因子VBP1(Vif-binding protein 1)を新たに見いだした。VBP1はVifによるAPOBEC3分解を他の宿主因子を介さずに阻害している可能性が示唆され、現在その詳細な分子機構について解析中である。本研究の革新的な網羅的解析技術によって、翻訳後修飾の観点からHIV複製機構および病原性を部分的に明らかにすることができた。今後はウィルスタンパク質の翻訳後修飾を標的とした抗HIV薬の開発が期待される。
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Research Products
(2 results)