2010 Fiscal Year Annual Research Report
インスリンシグナルにおける活性酸素の関与とカベオリンによる制御機構についての研究
Project/Area Number |
22890151
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
押川 仁 横浜市立大学, 医学部, 助教 (50381471)
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Keywords | 糖尿病 / シグナル伝達 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
膜蛋白のカベオリンがインスリンシグナルを促進的に調節することが知られているが、その機序は明らかになっていない。本研究では、その機序として酸化ストレスによるPTP1Bの活性調節にカベオリンが関与していることを仮説として研究を始めた。骨格筋の培養細胞としてマウス由来のC2C12を用いた。分化したC2C12はカベオリン3を豊富に発現することが知られている。カベオリン3特異的なsiRNAを作製し、C2C12にトランスフェクションしたところ、2日後にはカベオリン3の発現が80%以上の減少を認めた。この細胞を用いて、インスリン刺激後のインスリン受容体の活性を免疫沈降、ウエスタンブロットにより調べたところ、インスリン刺激5分後のインスリン受容体のリン酸化は、カベオリン3-siRNA処理をした細胞で低下していた。機序は不明であるが、インスリン受容体の発現量そのものは、むしろカベオリン3-siRNA処理をした細胞で増加しており、カベオリン3がインスリン受容体のリン酸化に強く関与していることが示唆された。次に、PTP1Bの発現、活性を調べた。PTP1Bの発現量はカベオリン3-siRNA処理をしても変化はみられなかったが、PTP1Bの活性がカベオリン3-siRNA処理した細胞では増加していた。また、カベオリンのPTP1Bへの直接の作用を調べるために、in vitroにおけるカベオリンscaffolding domain peptideがPTP1B activityに与える効果を測定した。この実験結果から、カベオリン1とカベオリン3のscaffolding domainが濃度依存的にPTP1B activityを抑制することが分かり、カベオリン2に関してはPTP1B activityをむしろ上昇させることが分かった。
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