2011 Fiscal Year Annual Research Report
宿主細胞内での病原細菌に対するユビキチン化メカニズムの解析
Project/Area Number |
22890154
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
吉川 悠子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (00580523)
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Keywords | 細菌 / 感染症 / リステリア / オートファジー / ユビキチン |
Research Abstract |
細胞内寄生菌であるリステリアは、菌体表面タンパク質ActAによりArp2/3複合体などの宿主タンパク質を菌体周囲に集積させ、菌体の一極にアクチン重合を誘導し、細胞内を運動する。ActAが宿主タンパク質を集積できない場合、菌体が直接ユビキテン化され、細胞内分解系の一つであるオートファジーにより捕捉・分解されるが、その機序は未だ明らかでない。本研究では、ユビキチン修飾系の宿主細胞の自然免疫システムにおける役割を明らかにすることを目的とした。昨年度までに、2種類のユビキチン化を受けるリステリア菌体側の候補分子および4種類のユビキチン修飾を行う宿主側の候補分子が、in vitroリユビキチネーションアッセイとLC-MS/MSを組み合わせた方法にて得られている。そこで、本年度はこれら候補分子の解析を試みた。 まず、宿主側の4種類の候補分子についての解析を行った。RNAi法にてそれぞれ発現をノックダウンさせたMDCK細胞にリステリアactA変異株を感染させ、ユビキチン化される菌体の割合を測定したが、コントロールと比べ、有意な差はなかった。また、それぞれの哺乳類細胞強制発現ベクターを作製し、恒常的に発現させたMDCK細胞を作成したが、こちらも有意な差はなかった。 次に、リステリア菌体側の2種類の候補分子の哺乳類細胞強制発現ベクターを作製したが、MDCK細胞内での発現は観察されなかった。そこで、リコンビナントタンパク質を作製し、in vitroユビキチネーションアッセイを行ったところ、このうち1種類の菌体側分子が直接ユビキチン化を受けることが分かった。
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