2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳形成に必須な分泌蛋白質リーリンの、特異的分解による機能制御機構の解明
Project/Area Number |
22890155
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
河野 孝夫 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70581742)
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Keywords | リーリン / 神経細胞 / プロテアーゼ / 脳 / 神経回路 |
Research Abstract |
リーリンは脳の層構造形成に必須の蛋白質であり、3,461アミノ酸からなる巨大分泌蛋白質である。リーリンは、分泌過程において2ヶ所(N-t site及びC-t site)で特異的分解を受けることが報告されている。最近申請者は、リーリンのC末端領域(CTR)内に新たな分解部位(CTR site)が存在することを見いだした。本研究では、これら分解部位でのリーリン分解の分子機構と生理的意義を解明することを目的とする。申請者は、リーリンはproprotein convertase familyのプロテアーゼによりCTR siteで分解されること、さらにCTR siteにおいて分解を受けていないリーリンは神経細胞表面へ結合しやすいことを既に見出している。本年度は、神経細胞の形態形成における、リーリン分解の意義を調べた。その結果、CTR siteにおいて分解を受けていないリーリンは、神経細胞の成長円錐を崩壊させる活性を持つことを見いだした。一方、CTR siteにおいて分解を受けたリーリンは、この活性を持たなかった。このことは、CTR siteにおけるリーリンの分解は、神経回路形成に重要な役割を担う可能性を示唆する。さらに、申請者はCTR siteにおける分解により、リーリンとの結合が調節される分子を見いだした。今後、この分子とリーリンとの結合の生体内における重要性を明らかにする。また、N-t siteにおけるリーリン分解を担うプロテアーゼを同定するために、初代培養神経細胞の培養上清からプロテアーゼの同定を試みた。その結果、リーリン分解活性画分を分離することができ、候補プロテアーゼを見いだした。現在、このプロテアーゼがリーリンを分解する活性を持つか否かを検討中である。
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Research Products
(9 results)