2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳形成に必須な分泌蛋白質リーリンの、特異的分解による機能制御機構の解明
Project/Area Number |
22890155
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
河野 孝夫 名古屋市立大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (70581742)
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Keywords | リーリン / 神経細胞 / プロテアーゼ / 脳 / プロテオリシス |
Research Abstract |
リーリンは、脳の層構造形成に必須の巨大分泌蛋白質である。リーリンは、プロテアーゼにより2カ所(N-t site及びC-t site)で特異的に分解を受ける。また申請者は、リーリンのC末端領域(CTR)内にも新たな分解部位が存在することを見いだした。本研究では、これら分解部位でのリーリン分解機構、及び生理的意義を解明することを目的とした。前年度までの研究により、ADAMTSファミリーに属するメタロプロテアーゼが、N-t siteにおけるリーリン分解に関与する可能性が強く示唆された。そこで、ADAMTS-1,-4及び-8のリーリン分解活性を検討した。その結果、ADAMTS-1及び-8はリーリンを分解する活性を持たなかったが、ADAMTS-4はN-t及びC-tsiteの両方でリーリンを分解すること、ADAMTS-4はそのアイソフォームによりリーリン分解活性が異なることも分かった。 さらに、N-t siteをアミノ酸レベルで同定し、N-t siteで分解を受けていないリーリンのみを特異的に認識するモノクローナル抗体の樹立に成功した(特許出願中)。N-t siteにおけるリーリン分解は、アルツハイマー病などの精神疾患患者で異常亢進する報告があるので、精神神経疾患の診断やプロテアーゼ阻害剤のスクリーニングにおいて有用なツールになると期待できる。 また、CTR siteにおける分解により、リーリンとの結合性が調節される分子について研究を進め、リーリンとの結合が抗CTR抗体で阻害できることを見いだした。今後、この抗CTR抗体を用いることで、生体内におけるリーリン新規分解の生理的意義が明らかになると期待される。
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Research Products
(14 results)