2010 Fiscal Year Annual Research Report
hSNF5の標的遺伝子の同定とその転写制御のメカニズムの解明
Project/Area Number |
22890157
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
桑原 康通 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30590327)
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Keywords | hSNF5 / ラブドイド腫瘍 / p21 / p53 / NOXA / SWI/SNF複合体 |
Research Abstract |
1. p21プロモーターにおけるhSNF5の転写制御の機構の解明 MRT細胞株にアデノウイルスベクターを用いてhSNF5遺伝子を強制発現させ、p21プロモーターで転写開始点を中心に前後3kbにわたった領域で、導入したhSNF5の分布をChIPアッセイで行った。hSNF5はp21プロモーターで転写開始点をピーク全領域に発現していることがわかった。また、BRG-1は全領域で均等に上昇していた。hSNF5を発現することでSWI/SNF複合体がp21ローカスに集合し,RNAポリメラーゼIIが転写開始点にリクルートされていた。ヒストン修飾に関してはH3K4のメチル化、H3K36のメチル化の変化を確認した。トリメチル化H3K4は転写開始点周辺で上昇し転写開始段階の活性化を示した。また、トリメチル化H3K36は転写開始点以降で増加し転写伸張の活性化が起こっていることを示した。P21に関係する転写因子であるp53に関してはA204では増加しCDK8もリクルートされていたが、TTC642では増加は示さなかった。hSNF5によるp21の転写活性化にはp53をリクルートを伴わない機構が存在することが明らかになった。以上、投稿準備中である。今後、SWI/SNF複合体はBAF155,BAF180,BAF57,BRG1などより構成されているが、hSNF5が存在しない状態でどういった状態で複合体を形成し、hSNF5導入により複合体の構成が変化するのかどうかを検討中である。 2. p53の標的遺伝子におけるhSNF5の新規標的遺伝子の同定:NOXAを中心に MRTの細胞株6種で、NOXA遺伝子の発現を確認するとやはり低発現であった。PUMAなどその他のp53関連遺伝子の発現は細胞株でまちまちであった。そこで、NOXAが重要と考えた。MRT細胞株にhSNF5を発現させるとNOXA遺伝子のmRNA上昇し転写活性があがった。ChIPで検討したところ、hSNF5が直接NOXAのプロモーターに結合し、直接制御していることが確認された。NOXAはアポトーシス関連遺伝子であり、ラブドイド腫瘍の化学療法体制のメカニズムの解明と有効な治療法の確立に向けて意義のある結果が今後期待できる。
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