2010 Fiscal Year Annual Research Report
抗結核作用を有するベルチヘミプテリドAの合成化学的研究
Project/Area Number |
22890170
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
成田 紘一 東北薬科大学, 薬学部, 助手 (20584460)
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Keywords | ベルチヘミプテリドA / 抗結核薬 / 二量化反応 / 全合成 |
Research Abstract |
ヨコバイを寄主とするVerticillium hemipterigenum BCC 1499株の発酵液より単離・構造決定されたベルチヘミプテリドAはジケトピペラジンが二つのジスルフィド結合によって架橋された二量体を形成しており、これまでにないユニークな結合様式を有する天然有機化合物である。また抗結核作用を示すことから、新規治療薬のリード化合物として期待されている。本年度は、エピジチオジケトピペラジンを鍵中間体として設定し、ベルチヘミプテリドAの全合成研究を行った。グリオキシル酸から容易に得られるα位にスルフェニル基を有するアミノ酸に対してDCCを縮合剤として用い、フェニルメントールを作用させたところ良好な収率で対応するフェニルメンチルエステルを得ることができた。得られたフェニルメンチルエステルに対し、LDAおよびn-ブチルリチウムを作用させることで系中にジアニオン発生させ、次いでベンジルブロミドを作用させたところ、期待通りアミノ酸α位において速やかにアルキル化反応が進行し、所望のアミノ酸ユニットを単一のジアステレオマーとして得ることに成功した。しかしながら、得られたアミノ酸ユニットからフェニルメンチル基を除去するために水酸化リチウムを作用させたところ、スルフェニル基の脱離を伴ってしまいフェニルメンチル基を除去することができなかった。さらに、ナトリウムメトキシドやDIBAL還元等を用い種々検討を行ったがフェニルメンチル基を除去することはできなかった。現在は異なったアプローチによるエピジチオジケトピペラジンの合成を検討している。
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