2010 Fiscal Year Annual Research Report
CD8陽性T細胞におけるヒストンメチル化の制御ネットワークの解明
Project/Area Number |
22890172
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
荒木 靖人 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (10580839)
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Keywords | T細胞 / ヒストンメチル化 / クロマチン / 転写因子 / 転写制御 |
Research Abstract |
CD8陽性T細胞の分化の機序及びエフェクター機能がどのように制御されているかはいまだ不明である。申請者らはエピジェネティックス機構の中でもヒストン修飾(ヒストンアセチル化・メチル化)による遺伝子発現の制御が、CD8陽性T細胞の機能・分化において重要であることを報告してきた。本研究では、ピストン修飾がどのようにCD8陽性T細胞において制御されているかを調べるために、CD8陽性T細胞の機能・分化に重要な役割を持つヒストンメチル化修飾酵素の同定及び機能の解析を行う。今年度得られた結果としては、メモリーCD8陽性T細胞で特異的に発現しているヒストンメチル化修飾酵素の同定するために、マウスCD8陽性T細胞からナイーヴ細胞(CD62L陽性、CD44陰性)とメモリー細胞(CD62L陰性、CD44陽性)を分離した後、total RNAを抽出し、cDNAを作成した。これらのcDNAを用いて、ヒストンメチル化酵素とピストン脱メチル化酵素の遺伝子発現を定量的(リアルタイム)PCR法にて比較したところ、メモリーCD8陽性細胞において特異的に発現している酵素としてヒストンメチル化酵素Ezh2とNsd1、ヒストン脱メチル化酵素Fbx110を同定した。今後、これらの酵素のCD8陽性T細胞における機能、形成する複合体、その複合体中の分子のCD8陽性T細胞における機能の解明を調べる予定である。これらの結果は、CD8陽性T細胞におけるヒストンメチル化の制御ネットワークの解明につながる。細胞分化の一つのモデルとしての末梢血液中のCD8陽性T細胞を用いて、ヒストンメチル化を調節するエピジェネティックス機構を明らかにする事により、将来的にCD8陽性T細胞の分化・機能を人為的に操作する事が可能になると申請者は考えている。その結果、ウイルスなどに対するワクチンの効率的な作成などへの臨床応用が期待される。
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Research Products
(3 results)