2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨・軟骨形成における低分子量Gタンパク質Rac1の機能解析
Project/Area Number |
22890180
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
鈴木 大 昭和大学, 歯学部, 助教 (00585797)
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Keywords | 遺伝子 / 発生・分化 / 細胞・組織 / 骨・軟骨 |
Research Abstract |
RaclはRhoファミリータンパク質に属する低分子量Gタンパク質の一つで、細胞の様々な機能にとって重要な役割を果たしている。しかし、Raclの骨・軟骨形成における機能に関しては未だ不明な点が多い。申請者はRaclの骨・軟骨形成における作用を検討するために、Racl遺伝子欠損マウスの解析が必要となった。しかし、Racl遺伝子を全身で欠損させたマウスは胎生初期で死に至る。そこで本年度は、肢芽間葉組織特異的にRacl遺伝子を欠損させるために、Racl遺伝子エクソンlの上流および下流域にloxP配列を組み込んだマウス(Racl flox)とPrxl-Cre Tgマウスとを交配させたコンディショナルノックアウトマウス(Raclfl/fl;Prx1-Cre)を作成した。その結果、Raclfl/fl;Prxl-Creマウスは長管骨骨端軟骨における成長板の肥大軟骨細胞層の肥厚と軟骨内骨化の遅延が認められた。軟骨細胞層のアポトーシスを検討したところ、Raclfl/fl;Prxl-Creマウスでは後期肥大軟骨細胞層でTUNEL陽性細胞が増加していた。in situ hybridizationによる遺伝子発現の検討では、後期肥大軟骨細胞層でMmp13およびVegfの発現がRaclfl/fl;Prxl-Creマウスで減少していることが確認された。以上の結果から、Raclは肥大軟骨細胞層の最終分化に重要であり、Mmp13とVegfの発現を介して軟骨基質分解と血管新入を制御して軟骨内骨化を行っているものと推察される。今後は、Racl floxマウスとColl-Cre Tgマウスとを交配させ、骨芽細胞におけるRaclの機能解析を行う予定である。
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