2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22890187
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
中川 量晴 昭和大学, 歯学部, 助教 (60585719)
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Keywords | 摂食嚥下障害 / 誤嚥性肺炎 / 咽頭微小電気刺激 / 超音波エコー / 嚥下訓練法 |
Research Abstract |
本研究では摂食・嚥下障害患者に対して、嚥下反射を直接的に誘発する新たな訓練法開発のための基礎データを取得する。以前の動物実験において、舌咽神経と迷走神経から分枝する上喉頭神経支配領域を電気刺激すると、嚥下反射開始までの潜時が有意に短縮されることが報告された。したがって、この部位はヒトにおいても嚥下誘発に有効な部位であることが推察されるが、ヒトの咽頭粘膜への微小電気刺激が嚥下反射に及ぼす影響については現在まで充分な検証がなされていない。また、嚥下動態の評価にはX線透視による方法(VF)と経鼻的に内視鏡を挿入して咽頭内を観察する方法(VE)があるが、いずれも患者に対してある程度侵襲が加わる。近年、非侵襲的に舌運動や咽頭、食道入口部の観察が可能である超音波エコー(US)を用いての嚥下動態の評価が有効であると報告がある。以上のことから、食物を用いず安全に繰り返し嚥下反射誘発訓練を遂行できる方法を開発するため、健康成人の咽頭領域への微小電気刺激に誘発される嚥下反射を超音波エコーにより非侵襲的にモニターし、嚥下反射を誘導する刺激条件と方法を検討する。平成22年度は、咽頭刺激装置により嚥下反射を誘発し、超音波エコーで嚥下動態を評価する観察方法を確立した。平成23年度は、嚥下反射が誘発される咽頭刺激強度、頻度等と嚥下反射応答との相関関係を解析した。咽頭領域を刺激したときの知覚閾値は、10Hzでは0.9±0.2mA、15Hzでは0.7±0.2mAであり、嚥下誘発閾値は、10Hzでは1.4±0.3mA、15Hzでは1.2±0.3mAであった。また30秒間の総嚥下回数および後半15秒の嚥下回数は,咽頭刺激により有意に増加した。刺激により随意嚥下の回数は増加したことから、適正な刺激を実施できる条件下においては、臨床的な基礎訓練へ応用できる可能性が示された。
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