2011 Fiscal Year Annual Research Report
転移がんの克服を目指した新規治療抗体の創製:擬似血管はがんのターゲットとなるか?
Project/Area Number |
22890192
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
野村 鉄也 帝京大学, 薬学部, 助教 (40582854)
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Keywords | 腫瘍擬似血管 / 転移 / ファージ表面提示法 / 免疫抗体ライブラリ |
Research Abstract |
本研究課題においては,現在わが国における死亡原因の第1位を占めている悪性腫瘍に対する新規治療法の開発を目指す.近年,腫瘍組織においてがん細胞が血管に類似した管腔構造を形成し,血管様の働きを示すことが報告されている.この構造は,腫瘍擬似血管(Tumor Vasculogenic Mimicry:TVM)と呼ばれる,一部のTVMには赤血球も観察され,血流を介してがん転移にも関与する可能性が示唆されている.したがって,現在がんの転移に重要な役割を担うと考えられている血管新生の抑制と共にTVMを抑制できれば,腫瘍組織を退縮させ,さらにがんの転移も抑えられると期待される.そこで我々は,機能性人工たんぱく質創出技術であるファージ表面提示法を駆使し,がん克服を目指してTVMに対する抗体の作成を行ってきた.TVMはその形態の違いから特異的たんぱく質を発現していると考えられることから,抗体が作成できれば未だ明らかとなっていないTVMの特異的マーカーの同定にもつながると期待される,本年度は,昨年度に引き続きTVMを免疫したマウスより摘出した脾細胞より回収したRNAを用いて免疫抗体ライブラリの作成を進めた.また,がんの転移に対してTVMがどのような形で関与するのかを明らかとするために,担がんマウスモデルに対してTVMを抗原として用いたワクチン療法による腫瘍増殖抑制効果を検討した.その結果,プレリミナリーな検討ではあるがTVMを抗原として免疫したマウスでは,未処置群と比較して腫瘍増殖が抑制される傾向になった.またin vitoroで形成したTVMに関して,血管としての特性を評価するため,血管内皮細胞において発現の高い分子の測定を行ったところ,TVMでは発現上昇は確認されなかった.したがって,TVMは血管と似た構造をとりつつも異なる性質を有した細胞群である可能性を明らかとした.
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[Journal Article] Fine tuning of receptor-selectivity for tumor necrosis factor-α using a phage display system with one-step competitive panning2011
Author(s)
Abe Y, Yoshikawa T, Inoue M, Nomura T, Furuya T, Yamashita T, Nagano K, Nabeshi H, Yoshioka Y, Mukai Y, Nakagawa S, Kamada H, Tsutsumi Y, Tsunoda S
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Journal Title
Biomaterials
Volume: 32(23)
Pages: 5498-5504
Peer Reviewed
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