2011 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠時間と不眠が生活習慣病の発症に及ぼす影響に関する大規模コホート研究
Project/Area Number |
22890195
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
可知 悠子 帝京大学, 医学部, 助教 (10579337)
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Keywords | コホート研究 / 睡眠時間 / 生活習慣病 / 糖尿病 / 産業保健 / 労働者 |
Research Abstract |
昨年度は、睡眠時間及び不眠と生活習慣病との横断的な関連について検討した。その結果、肥満者(BMI25以上)では短時閻睡眠(5時間未満)及び長時間睡眠(8時間以上)が糖尿病と関連することが示された。また、不眠症状の中でも、中途覚醒と早朝覚醒が糖尿病と関連することが示された。高血圧及び脂質異常症と睡眠時間及び不眠との間に有意な関連は示されなかった。 本年度は、研究をさらに推し進め、睡眠時間と糖尿病との縦断的な関連について検討した。全国に支社を持つ某事業所に勤務する、糖尿病歴のない男女労働者(男性3,037名、女性11,182名;年齢:35-64歳)を2004年から2007年まで3年間追跡し、糖尿病の発症状況を調べた。糖尿病の発症は追跡期間中に糖尿病と自己報告した場合、あるいは空腹時血糖126mg/d1以上となった場合と定義した。睡眠時間はベースラインにおける自記式アンケート調査により評価し、5つのカテゴリに分類した(カテゴリ:5時間未満、5時間以上6時間未満、6時間以上7時間未満、7時間以上8時間未満、8時間以上)。ロジスティック回帰分析により、ベースラインの睡眠時間と追跡期間中の糖尿病発症との関連を分析した。追跡した3年間において、男性120名(4.0%)と女性270名(2.4%)が糖尿病を発症した。ロジスティック回帰分析の結果、男性では睡眠時間と糖尿病発症との間に有意な関連は示されなかった。女性では、6時間以上7時間未満の睡眠と比較して、5時間未満の短時間睡眠(交絡変数を調整済みのオッズ比1.48[95%信頼区間:1.02-2.15])及び8時間以上の長時間睡眠(2.87[1.61-5.10])と糖尿病発症との間に有意な関連が示された。なお、高血圧及び脂質異常症に関しても分析を試みたが、睡眠時間との関連は認められなかった。 短時間睡眠および長時間睡眠が糖尿病発症のリスクと関連することが示され、糖尿病予防のために睡眠衛生の改善が必要であることが示唆された。
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