2010 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓足細胞の障害は不可逆か。足細胞特異的遺伝子欠損動物を用いた治療可能性の検討
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22890196
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
渡邉 秀美代 帝京大学, 医学部, 助手 (30422314)
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Keywords | 慢性腎不全 / 足細胞 / p130-cas / 足細胞特異的p130-casノックアウト / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
【目的】慢性腎不全はその治療に毎年日本の国家予算を5兆円程度要し、毎年患者数が更に増え続けている。腎炎の大きな原因は糸球体の濾過選別機能の低下である。糸球体の足細胞は糸球体において濾過するものを選別するだけでなく、そのアクチン細胞骨格で毛細血管を覆い糸球体を外側から包み、強力な血管内圧などに耐えて腎臓の形態と機能を維持するために力学的負荷を随時受けている。この足細胞が力学的支持組織であるという視点で足細胞におけるアクチン細胞骨格のシグナル伝達機構を解明し、骨格筋や腱の様なリモデリングシステムの側面からその正常と異常、修復不可能だといわれてきた足細胞の修復可能性を調べ、慢性腎不全(CKD)の発症と進行を予防することを目的に当研究を行っている。 【経緯】糸球体濾過機能を維持する糸球体足細胞にはp130-casが発現していることを私達は足細胞の細胞株よりmRNAを抽出しRT-PCRとWestern blotで確認した。p130-casはアクチン細胞骨格のリモデリングをコントロールすることが知られている。私たちは、このp130-casを足細胞特異的にノックアウトしたマウスを作成し、塩分負荷や片腎摘出によって進行する慢性腎不全に変化があるかを観察した。この変化は予測していたよりも微細であった。 【今後の予定】そこでp130-casの機能をcas-Lがある程度補償している可能性を考え、今後p130-casをノックアウトした時のcas-Lの発現の変化を追うと共に、p130-casとcas-Lのダブルノックアウトマウスを作成して腎機能の推移を確認する予定である。更にここで重篤な慢性腎不全が生じた場合に、それに対して当研究室で開発したsiRNAベクターを用いて遺伝子治療を試みる予定である。
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Research Products
(4 results)