2011 Fiscal Year Annual Research Report
三次救急医療に従事する看護師の自殺未遂患者に対する態度変容の過程
Project/Area Number |
22890219
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
瓜崎 貴雄 大阪医科大学, 看護学部, 助教 (20584048)
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Keywords | 自殺未遂 / 態度変容 / 看護師 / 三次救急医療 |
Research Abstract |
本研究の目的は、三次救急医療に従事する看護師の自殺未遂患者に対する態度変容の過程を明らかにすることである。本年度の研究実績を以下に記載する。2011年4~8月:看護師に対して半構造化面接を実施した。面接は1-2名/月の頻度で行った。1名の面接を終えるたびに、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによってデータを分析した。9~12月:研究参加者計11名のデータ分析結果の検討を行った。10月:日本人間性心理学会第30回学術集会に研究成果の一部を発表した。2012年1~3月:論文の執筆、学会誌への投稿を行った。本研究の結果、次のことが明らかとなった。三次救急医療に従事する看護師の自殺未遂患者に対する態度変容の過程は、【専門職としての積極的な関わり】【関わりの際に生じるまごつき】【関わるための試み】【不信と否定】【虚しさによる消極的な関わり】の5つのカテゴリーと19の概念から構成された。看護師は、自殺未遂患者への精神的援助に対するむずかしさとはがゆさや、戸惑いと迷いを抱えながらも自殺未遂患者に対して積極的に関わっていた。しかし、自殺未遂患者との関わりを繰り返す中で、看護師は患者の自殺の意志に対する疑念、腹立ち、冷ややかな気持ちを抱くようになり、それに対して、看護師が精神看護の必要性を認識できなかったり、ゆとりを創出できなかったりと上手く対処できなかった場合には、看護師の関わりは消極的なものへと変化していた。これらの結果より、看護師に対する心理的支援として、【関わるための試み】(精神看護の必要性を認識することや、ゆとりをつくること)を強めることや【虚しさによる消極的な関わり】(無力感や患者の予後に対するあきらめなどからぞんざいな対応をすること)に至った看護師の空虚感を軽減するための介入の必要性が示唆された。
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