2010 Fiscal Year Annual Research Report
NASHの肝線維化進展におけるプラスミンを介した炎症細胞浸潤の役割解明
Project/Area Number |
22890221
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
田村 行識 近畿大学, 医学部, 助教 (40580262)
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Keywords | NASH / プラスミン / 肝線維化 / マクロファージ |
Research Abstract |
メタボリックシンドロームを基盤病態として発症する非アルコール性脂肪肝炎(Non alooholic steatohepatitis : NASH)は肝硬変や肝がんに至る病態で、その病態解明と新たな治療戦略の確立は急務である。NASHにおける線維化進展機序にマクロファージや好中球などの炎症細胞浸潤の関与が示唆されている。線溶系因子のプラスミンは、組織での細胞外マトリックスの分解を介して、炎症細胞の浸潤・活性化に重要な役割を果たしているが、プラスミンをはじめとする線溶系因子のNASHの病態における役割は明らかではない。そこで、本研究は、プラスミンを介したマクロファージ浸潤および活性化の制御がNASH病態に及ぼす影響を解明し、新たな予防・治療法を確立することを目的とした。本年度は、まず、マウスのメチオニン・コリン欠乏食誘導NASHモデルにおける肝臓での線溶因子の発現動態を検討した。そして、NASHを誘導したマウスの肝臓において、組織型プラスミノゲンアクチベーターやウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベーターの遺伝子発現量と活性の変化が認められており、線溶系がNASHの病態に関与していることが示唆された。また、プラスミンの前駆体であるプラスミノゲンの遺伝子欠損マウスに、メチオニン・コリン欠乏食を与えてNASHを誘導し、その病態への影響について、野生型マウスとの比較検討を現在行っている。具体的には、肝臓における脂肪蓄積、マクロファージの浸潤、炎症性変化、線維化等について解析中である。また、NASHの新たな予防・治療法の確立を目的として、プラスミン活性を制御する物質の探索も同時に行った。その過程で、エンザミンというバシルスズブチリスAK株由来代謝産物の抽出物が、マウス血中のプラスミン活性を制御することを発見した。このエンザミンのNASHの病態に対する効果についても検討中である。
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Research Products
(2 results)