2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドメスティック・バイオレンス被害者の早期自立に向けた周産期看護援助の開発
Project/Area Number |
22890223
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
藤田 景子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 助教 (60587418)
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Keywords | ドメスティック・バイオレンス / 助産 / 被害者支援 / ウィメンズ・ヘルス / 妊娠 / 出産 / リプロダクティブ・ヘルス / ジェンダー |
Research Abstract |
本研究では、周産期にあるDV被害者の早期自立に向けて認識や感情に変化を与えた看護援助について、DV被害当事者である女性と看護職者の両方の視点から明らかにし、実践で活用できる看護援助の提供方法を開発することを目的とするものである。今年度は、DV被害からの早期自立に影響を及ぼしたケアとはどのような看護援助であるのか、DV被害女性にインタビュー調査を実施し、良い印象を受けた看護援助について語ってもらった。各々インタビューで挙げられた看護援助場面において、DV被害女性のDVに関する認識の状態が異なっていることが明らかとなったため、まずは、周産期におけるDV被害女性のDVに関する認識の変化の様相の分析をおこなった。その結果、DVに関する認識には4つのステージ(段階)があることが明らかになった。第1ステージはDV被害を受けていても「DV被害を認識していない(無意識~前意識)」段階、第2ステージは自分が夫から受けていることはDV被害であると知る機会を経て「DV被害を認識する(認識の変容)(前意識~意識化)」段階、第3ステージは自分がDV被害を受けていることを認識し、受容したのちに「DV被害の関係から出るという行動を起こす(行動の変容)」段階、第4ステージは「DV被害の関係から抜け出した後の自己概念の受容」の段階であった。その中でも、第2ステージの「DV被害を認識する(認識の変容)」は、DV被害女性がDV被害を認識するプロセスにおいてターニングポイントとなっており、自分の身に起こっていることはDVであることを知る機会に直面した時に3つのパターンを示すことが見うけられた。本研究は現在も継続中であり、周産期におけるDV被害女性の認識の変化とその変化に影響を与えた看護援助について分析を進めていく。さらに、次年度は看護職者からの視点も加え、DV被害女性と看護職者の相互関係における早期自立に影響を及ぼすより実践的なケアの提供方法の開発に取り組んでいく。
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