2011 Fiscal Year Annual Research Report
病院組織に勤務する中堅看護師における世代継承性の構造
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22890226
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Research Institution | University of KinDAI Himeji |
Principal Investigator |
藤原 史博 近大姫路大学, 看護学部, 助教 (00584210)
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Keywords | 世代性 / 世代継承 / 看護師 / 中堅 / 若手 / 病院 |
Research Abstract |
本研究の目的は、病院に勤務する中堅看護師に焦点を当て、職場で発揮している「世代継承性(generativity)」を明らかにすることである。病院に勤務する中堅看護師に対し、どのような事象を世代継承性であると捉えているかに関し、事前に開発し修正を重ねた面接ガイドラインを用いて個別的な半構成的面接により定性的データを得た。 結果的に計24名の協力者が得られ、各々のデータについてグラウンデッドセオリーアプローチを参考に分析した。結果、病院組織に勤務する中堅看護師は主に【看護実践に含まれる価値】について若手に伝承したいと捉えていることが明らかとなり、そこには「揺らぎない患者志向性を持つ」「療養生活における安全安楽を保証する」「患者の倫理的側面を尊重する」「看護ケアによるアウトカムを高める」「看護師としての能力を継続的に研鑚する」等のサブカテゴリーが含まれていた。それらを伝承するための手段として「現象や根拠を言語化して説明する」ことが行われているが、それは若手が初めて遭遇した経験ならびに能力的に若手の手に負えない経験の渦中にある場合や事後的な支援としてなされていた。平常時においては、主に「看護実践の手本を示す」「所作や態度としてのモデルを示す」ことを行いながら、「判断に際して共に熟考する」「思考するための示唆を提示する」のように【主体的に思考して判断する能力の醸成】が展開されていた。すなわち、中堅看護師は、若手に継承したいと捉えている内容に関し、若手看護師自らが熟考することを通して価値あることと認識できたり問題解決ができるような関わりについて機会あるごとに展開していたのである。このように世代継承のプロセスが位置づけられていることの背景には【看護実践を取り巻く環境や状況の激しい変化】が挙げられており、単一的で特定的な問題解決方法を伝授するだけではもはや即応できないためであることが考えられた。
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