2011 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホジエステラーゼ機能の解明:認知機能障害治療薬としての可能性を探る
Project/Area Number |
22890228
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
黒岩 真帆美 久留米大学, 医学部, 助教 (20585690)
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Keywords | DARPP-32 / ホスホジエステラーゼ / 大脳皮質 / 統合失調症 / ドーパミン / 認知機能障害 |
Research Abstract |
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、ドーパミンD1受容体シグナルの制御に重要である。前頭前皮質におけるD1受容体シグナルの減弱は統合失調症の認知機能障害に関連し、PDE阻害薬はD1受容体シグナルを増強することから、統合失調症治療効果が期待される。本研究では、PDE作用を精査し、統合失調症の治療標的として最適なPDEサブタイプの検討を行った。また、ドーパミンシグナルの作用発現に不可欠なタンパク質DARPP-32と、各PDEサブタイプとの相互作用を解明するため、マウスの前頭前皮質を用い、PDEで調節される、D1受容体シグナルを中心とした細胞内シグナル伝達の解析、PDEサブタイプ発現パターンの解明を行った。さらに、PDE阻害薬の認知機能障害に対する治療効果の検討も行った。各種PDE阻害薬を用い、プロテインキナーゼA(PKA)シグナルの解析を行ったところ、PDE4阻害薬により、DARPP-32のPKAサイトであるThr34残基のリン酸化が増強された。免疫組織化学的解析により、大脳皮質では主にPDE4が機能し、PKAシグナルを調節していることが明らかとなった。PDE阻害薬の認知機能障害に対する治療効果の検討として、統合失調症の認知機能障害の指標として用いられている、プレパルスインヒビションテスト(PPI)を行った結果、PDE4阻害薬によりPPIの増強が見られたことから、PDE4阻害薬の認知機能障害治療薬としての可能性が示唆された。さらに、DARPP-32欠損マウスを用いた検討の結果、PDE4阻害薬によるPPIの増強はみられなかったことから、この作用発現には、DARPP-32によるPKA作用の増幅が必要であることが明らかとなった。本研究の結果より、PDE4の阻害が統合失調症の認知機能の改善などの精神疾患の治療につながるのではないかと考えられる。
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Research Products
(4 results)