2010 Fiscal Year Annual Research Report
網膜・硝子体界面におけるコラーゲン線維の第2高調波発生光イメージング
Project/Area Number |
22890231
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
佐々 由季生 福岡大学, 医学部, 助教 (80580315)
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Keywords | コラーゲン線維 / 第2高調波発生光 / 高酸素負荷網膜症 / 増殖糖尿病網膜症 / 増殖硝子体網膜症 / 黄斑前膜 / 生体イメージング / 増殖膜成熟 |
Research Abstract |
本研究はコラーゲン線維のポリペプチド鎖3重らせん構造から発生する第2高調波発生光(SHG光)情報を抽出できる特殊顕微鏡を用いて、硝子体内コラーゲン線維配向を評価する新しい生体イメージング方法を確立することにより、増殖性疾患・黄斑疾患における硝子体内コラーゲン配向の三次元的変化を明らかにし、新しい硝子体診断を確立することを目的としている。これに向けて、本年度我々は、ヒト増殖膜で線維様の明らかなSHG像が得られることを明らかにした。この像は皮膚で得られたSHG像とは異なり、密度が疎であり、配向も不規則であることが明らかになった。加えて、この増殖膜から得られるSHG光輝度の二次元的定量化に成功した。現在、得られた値が臨床所見での網膜症重症度と相関するかどうかを検討中である。今後は、SHG光輝度を用いたコラーゲン線維配向および密度の情報から、増殖膜形成(成熟)過程におけるコラーゲン線維の役割について明らかにする予定である。一方で、高酸素負荷網膜症モデルを用いて、高酸素負荷後1,3,5,7および10日目の新生血管膜について、組織切片におけるコラーゲン線維からのSHG光とマッソン・トリクローム染色像とを比較した。マッソン・トリクローム染色像では網膜上に新生血管膜および周囲の膠原線維染色像を得られたが、SHG光は確認できなかった。フラットマウント法でも新生血管膜周囲のSHG光は得られず、酸素負荷網膜症における新生血管膜ではSHG光が得られないことがわかった。このことから、高酸素負荷網膜症で生じる新生血管膜と患者増殖膜とは、病態にかかわるコラーゲン線維に性質の違いがあることが明らかとなった。高酸素負荷網膜症の血管膜は発生後約1か月で完全に消退する可逆性変化であることが知られている。SHG光陽性コラーゲン線維が、不可逆的な増殖膜形成の一因である可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)