2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域のシステム構築における保健師のコンピテンシーの開発・発展に関する研究
Project/Area Number |
22890243
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
杉田 由加里 国立保健医療科学院, 生涯健康研究部, 上席主任研究官 (50344974)
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Keywords | 行政保健師 / コンピテンシー / リフレクション / 地域ケアシステム / 人材育成 |
Research Abstract |
保健師が地域全体を捉えた活動を展開していくには個別の関わりだけでなく、多機関・多職種を巻き込んだシステムを構築することが不可欠である。このシステム構築の能力を効果につながる能力・行動特性であるコンピテンシーと捉え、研究者は地域のシステムを構築・発展させる保健師のコンピテンシー・モデルを開発している。 このコンピテンシー・モデルを提示し活用することで、地域のシステム構築に関して中心となって推進している保健師がシステム構築に関する課題や行動目標を明確にし、コンピテンシーの発展プロセスと、その発展に影響している要因を明らかにすることを目的に継続インタビューを実施した(平成23年8月~平成24年3月)。インタビューは、研究者が明らかにしたリフレクションを促進する要因を活用しながら実施した。 研究協力者は、地域のシステムを構築中である保健師4名であった。A氏(40代、政令市勤務)は、当初、その時に必要と考えられる企画をたてることができる、活動評価の方法を会得する、等の課題を捉えていた。企画力に関しては、「自分の担当学区内ならできる」と明言できるようになっていたが、他の保健師の担当学区まで足並みをそろえるといった、同僚間の調整の難しさを感じ、コンピテンシー・モデルの"合意にもとづくチーム結成"が自身の課題だと、さらに課題を明確に捉えるようになった。 研究者は、4人各自が当初捉えていた課題に関して、インタビューごとに実際に起こった出来事を振り返り、出来事に関連する自身の能力に関してリフレクションを促進できるように関わった。インタビュー終了時には、文献をさらに活用したい、実践報告として報告したいなど、さらなる目標を立てるといった学習意欲が向上していた。 実際に実施した実践と同時に、自分自身がどのような影響を受け、何を考えたのかといった振り返りを他者とともに実施することが重要ではないかと考えられた。
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