2010 Fiscal Year Annual Research Report
重症心不全の同種幹細胞移植治療へ向けた大動物モデル系の構築
Project/Area Number |
22890249
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
板倉 陽子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30582746)
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Keywords | 再生医学 / 心臓 / 大動物 / 評価(糖鎖) / 幹細胞移植 |
Research Abstract |
近年、細胞移植を利用した再生医療応用への関心が強く寄せられている。なかでも、皮膚や骨・軟骨に限らず、心臓、肝臓、膵臓など主要臓器に関する疾患への幹細胞移植療法が大きく期待されている。その背景には高齢化を迎えた日本において、重症な心疾患の治療法の一つである心臓移植には60歳以上の患者が対象外となる規定の存在などがある。そのために、幹細胞を使用した細胞移植療法は今後欠かせない治療法になると考えられる。一方、臨床における細胞移植では自家移植あるいは同種移植となるが、特性の明らかな細胞の個体レベルでの評価系が存在するのは主としてマウスのみである。ヒトに近い中大動物での評価が求められているが、特性評価された中大動物の幹細胞は現状ほとんど樹立されていない。そこで、ブタの羊膜や胎盤由来細胞を樹立し、安定培養系のプロトコールを確立すること、得られた細胞の心筋への分化誘導法の確立・特性評価を実施し、ヒト由来細胞との比較解析を実施すること、臨床応用を目指しモデル動物への細胞移植療法を検討することを目的とした。 今年度は、医療用廃棄物かつ非侵襲組織である胎児付着物を含む胎児性細胞(羊膜、胎盤、臍帯)から細胞の樹立を実施した。これらは倫理的問題が低いうえに、マウスおよびヒト細胞で心筋分化能が高い組織として知られている。複数の手法を用い、ブタ組織の胎児性付着物から間葉系細胞マーカーを発現した複数の細胞の樹立に成功した。細胞の形態学的特徴の観察および細胞染色を行い、その特性評価にも成功した。また、中大動物細胞の糖鎖プロファイル解析を実現した。得られた結果からヒト由来細胞との比較解析が可能であり、後の臨床応用へ向けた適切な細胞ソースの基盤データの取得に至った。
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