2010 Fiscal Year Annual Research Report
家族性アルツハイマー病脳内アミロイド形成におけるγセクレターゼ機能障害の意義
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22890251
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
及川 尚人 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 認知症先進医療開発センター・治療薬探索研究部, 流動研究員 (00583585)
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Keywords | 神経変性疾患 / 認知症 / アルツハイマー病 / プレセニリン / γセクレターゼ / アミロイドβ蛋白 / アミロイド / 膜脂質 |
Research Abstract |
本研究では、プレセニリン遺伝子に変異を有する家族性アルツハイマー病の脳内アミロイド形成機序について、当該遺伝子変異による膜脂質組成変化に着目し、膜脂質誘導性アミロイド形成反応の関与を検討するとともに、γセクレターゼ機能障害をその両者を繋ぐ要因として位置づけ、γセクレターゼ機能障害による膜脂質代謝への影響を検討している。 本年度はγセクレターゼ機能障害による膜脂質代謝への影響について、培養細胞を対象に検討を進めた。初めに、神経栄養因子で神経様に分化誘導させたPC12(PC12N)を、各種濃度のγセクレターゼ阻害剤(DAPT)で処理し、γセクレターゼ活性とアミロイドβ蛋白(Aβ)産生量の変動について検討した。その結果、低濃度DAPT処理において培養上清中のAβ濃度が増加し、高濃度DAPT処理においてAβ濃度が低下することが観察された。このことから、γセクレターゼの機能障害によってAβ産生量が増加しうることが示されたとともに、家族性アルツハイマー病関連のプレセニリン遺伝子変異によってγセクレターゼの機能障害が生じている可能性が示唆された。次に、γセクレターゼ機能障害による膜脂質組成への影響を検討するため、解析対象試料である突起末端部試料の回収をショ糖密度勾配遠心法により試みた。各種細胞小器官のマーカー蛋白質を用いたウエスタンブロット法により当該試料分画の成否を検討したところ、突起末端部試料が分画されていることを確認した。
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