2011 Fiscal Year Annual Research Report
家族性アルツハイマー病脳内アミロイド形成におけるγセクレターゼ機能障害の意義
Project/Area Number |
22890251
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Research Institution | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
Principal Investigator |
及川 尚人 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 認知症先進医療開発センター・治療薬探索研究部, 流動研究員 (00583585)
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Keywords | 神経変性疾患 / 認知症 / アルツハイマー病 / プレセニリン / γセレクターゼ / アミロイドβプロテイン / アミロイド / ガングリオシド |
Research Abstract |
本研究では、プレセニリン遺伝子に変異を有する家族性アルツハイマー病の脳内アミロイド形成機序について、当該遺伝子変異による膜脂質組成変化に着目し、膜脂質誘導性アミロイド形成反応の関与を検討するとともに、γセクレターゼ機能障害をその両者を繋ぐ要因として位置づけ、γセクレターゼ活性低下による膜脂質代謝への影響を検討している。 本年度はγセクレターゼ活性低下による膜脂質代謝への影響について、神経様に分化誘導させたPC12(PC12N)を対象に検討を進めた。具体的には、昨年度確認した、γセクレターゼ阻害剤(DAPT)処理によりプレセニリン遺伝子変異において観察されているのと同様のAβ産生様式を呈する条件下における、Aβ沈着起始部である突起末端部の膜脂質組成変化の有無を検討した。突起末端部の細胞膜は昨年度確立したショ糖密度勾配遠心法により回収し、脂質解析は質量分析を駆使し網羅的に行った。その結果、DAPT処理により、コレステロール、スフィンゴミエリン、並びにフォスファチジルコリンの量的変化は観察されなかった一方で、GM1、GD1a、及びGT1a+bガングリオシド量の増加が観察された。また、細胞体画分においてはDAPT処理による各脂質分子の量的変化は観察されなかった。このことから、γセクレターゼの活性低下により、突起末端部特異的なガングリオシド代謝変化もしくは膜脂質輸送障害が誘導されている可能性が示唆された。 GM1ガングリオシドはAβ重合を促進すること、また、アルツハイマー病脳内のアミロイド陽性シナプス膜においてはGM1ガングリオシド量の増加が観察されていることを考慮すると、本研究の結果からプレセニリン遺伝子変異において観察されているγセクレターゼ活性低下が、細胞膜脂質環境の変化誘導を介して脳内アミロイド形成に寄与している可能性が示された。
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Research Products
(1 results)