2011 Fiscal Year Annual Research Report
SOCS1アンタゴニストを組み込んだBCGを用いた新規結核ワクチンの開発
Project/Area Number |
22890255
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Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
渡邉 健太 独立行政法人医薬基盤研究所, 霊長類医科学研究センター, 研究員 (20582208)
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Keywords | 結核ワクチン / BCG / SOCS1 |
Research Abstract |
現在、BCGは結核ワクチンとして世界中で広く用いられているが、その効果については問題点も多い。そこで、より効果的な結核ワクチンの確立を目指し、免疫原性を高めだ組換えBCGワクチンによる新たな結核予防方法の開発を行った。前年度までに、サイトカインシグナル制御因子であるSOCS(Suppressor of Cytokine Signaling)分子のアンタゴニスト遺伝子を組み込み、この分子を発現するリコンビナントBCG(rSOCSI-DN/BCG)を確立させ、これを免疫したマウスを用いて基礎的解析が行われた。そこから得られた結果を踏まえた上で、平成23年度の研究においては、既存のBCGと比較した免疫反応とワクチン効果についてより詳細な検討を行った。rSOCSI-DN/BCG免疫マウスにおいては、結核抗原特異的な免疫応答が強く誘導され、抗原刺激に依存した各種サイトカインの産生に上昇が認められた。このことから、rSOCSI-DN/BCGが既存のBCGと比較して高い免疫効果を持つことが示された。また、rSOCS1-DN/BCG免疫マウスにおいて結核菌攻撃接種実験を行ったところ、BCGよりも高い結核防御能が認められた。さらに、マウス骨髄由来のマクロファージ系培養細胞を用いたin vitroでの解析も行ったところ、細胞に取りこまれた菌から産生されたSOCS1-DN分子が細胞内で機能し、マクロファージが活性化していることが分子レベルで示された。以上の結果は、rSOCSI-DN/BCGが既存のBCGに代わる得る有用な結核ワクチンとして機能することを示唆するものであり、より効果的で新しい結核予防法の確立が期待できる。
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