2022 Fiscal Year Annual Research Report
簡牘の形態に関する新研究:三次元形態解析による古文書学・考古学・年輪年代学の融合
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22H00022
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鷹取 祐司 立命館大学, 文学部, 教授 (60434700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑野 吉則 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 助教 (50835478)
籾山 明 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (70174357)
浦 蓉子 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (80746553)
星野 安治 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (50644481)
山口 欧志 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 研究員 (50508364)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 中国古代史 / 中国簡牘 / 木簡 / 文書行政 / 古文書学 / 三次元形態解析 / 木質文化財 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は以下の2項目を中心に研究を遂行した。 (A)簡牘の形態分析に適した三次元計測・解析手法の確立:コスト面や操作性などを考慮し、SfM-MVS(Structure from Motion and Multi-view Stereo)の技術を活用し、デジタルカメラで撮影した複数の画像から、簡牘の三次元モデルを再構築する方法を採用した。この三次元計測では、簡牘が脆弱性遺物であるという点に注意しなけらばならない。そこで、非接触かつ簡便性・迅速性を備えた撮影・解析手法を確立すべく検討を重ね、ロボタイゼーション技術を利用し、一度に多方向から計測できる専用の自動撮影・解析装置の開発に着手した。立案の段階では、簡牘の表面と裏面をそれぞれ別々に撮影するように計画したが、昨今の研究機関における人的リソース不足の深刻な状況を鑑み、一度の撮影で360度を計測・解析できる機構・装置を試作した。ただし、現段階では研究に耐えうるレベルでの画像取得が十分ではなく、さらなる改修が必要である。 (B)中国簡牘の形態観察の定形化:簡牘の形態観察の検討会を実施した。本検討会の協議により、本課題では、簡牘の総体的な研究を目指し、文字面だけではなく、側面を含むすべての面について、加工痕跡や割面、切断痕跡、木材の木取り等の製作工程に関わる情報、及びその使用に関わる情報を定型的に記録することとした。また、高精度かつ安定した簡牘形態の観察所見を研究者間で共有・活用することを目指し、観察の手順、記録フォーマットを策定することとした。そこでまずは、国内外の先行研究をアーカイブ化し、観察に係る専門用語や所見を整理した。 上記のほか、中国簡牘の所蔵機関との打ち合わせをし、各機関における資料の保管、今後のデジタルアーカイブ化等の状況について情報収集をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(A)自動撮影・解析装置の開発において、当初計画では、令和4年度内に研究に耐えうるレベルでの画像取得、及び三次元モデルの構築を目指していたが、主にフォトグラメトリ技術において、ライティングや深度合成の点で改修が必要であり、目標としていた令和4年度内の実用化には至らなかった。装置開発の遅れに伴い、中国簡牘の所蔵機関との共同研究についても、具体的な調整に至らなかった。このような自動撮影・解析装置開発の遅れの一方で、人間の手による、撮影>データの解析機への転送>SfMによる解析にいたる過程の自動化については着実に進めることができた。また(B)簡牘の形態観察においては、先行研究で用いられている用語や所見のゆれが課題であると認識し、この点の改善に注力した。 以上を総合すると、研究全体では着実に遂行できてはいるものの、一部に遅れが生じているため、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、主に本課題の基礎的な技術・手法の確立に注力した。次年度以降は、研究成果を発信する段階にある。具体的には、以下の方針で研究を遂行する。 (A)自動撮影・解析装置の開発について、令和4年度に明らかとなった試作機におけるフォトグラメトリ技術上の課題点を改善し、早急に実用段階に到達する必要がある。そこで研究グループ外の研究者や技術者とのミーティングをおこない、装置をブラッシュアップする。そして令和5年度内に実用化された装置の公開を目指す。それと並行して、当該装置で取得した簡牘の表面情報を数値的に表わし、形状・状態の定量的に評価を可能にする手法に着手する。 (B)簡牘の形態観察においては、令和4年度に着手した形態観察の記録フォーマットについて、研究グループ外の研究者からのレビューををもとにさらなる検討を重ね、国内外の学会等で研究成果を発信する。 あらたに(C)簡牘の年輪計測による同一材判定の研究に着手し、これまでに遂行してきた簡牘の製作技法や加工痕跡の観察をはじめとする個体分析だけでなく、簡牘の樹種や材質の傾向等を群的に把握するための分析手法について初期検討をおこなう。 以上(A)~(C)の多面的な解析・分析により、簡牘に内在する多様な資料体情報を顕在化させ、研究資料として活用することを目指す。 上記のほかに、中国簡牘の所蔵機関との緊密な情報交換により、各所蔵機関における資料体の特徴・保管状況等の状況を調査し、より汎用性の高い装置開発・手法確立を目指す。
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Research Products
(10 results)