2022 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring an indigenous society in early colonial Taiwan by joining ethnographic archives and field research.
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22H00040
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
野林 厚志 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 教授 (10290925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 賢二 徳島県立博物館, その他部局等, 副館長 (00372227)
田本 はる菜 成城大学, 文芸学部, 専任講師 (20823800)
清水 純 日本大学, 経済学部, 特任教授 (30192610)
角南 聡一郎 神奈川大学, 国際日本学部, 准教授 (50321948)
宮岡 真央子 福岡大学, 人文学部, 教授 (70435113)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 先住民族 / エスニシティ / アーカイブ / 鳥居龍蔵 / 集合的記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初研究計画にしたがい、アーカイブとコレクションの調査、現地調査を並行して実施し、研究計画全体を方向づけるキックオフシンポジウムを実施した。 代表者の野林は本研究の主題となる鳥居龍蔵の領台初期の調査の足跡をフィールド調査で検証し、各地の民族の集住状況の歴史的検証から、鳥居の調査経路が、外部者の受容が容易であった多民族の混住地域であった可能性を知見として得た。分担者の長谷川は所属機関収蔵のアーカイブ資料の基礎調査を研究参画者とともに進めるとともに、国立台湾史前文化博物館との国際学術協定にもとづき、日台の国際共同調査を台湾南部を中心に実施した。記録上の言語や慣習が現在のソースコミュニティの成員の記憶とは必ずしも一致しないことを明らかにし、急速な文化変容の背景を掘り下げるとともに、他の地域との比較を検討する必要性を知見として得た。分担者の清水は古写真のデジタル復元、解析を行うとともに、復元の倫理規範に関する国際比較研究を進めた。芸術分野とは異なる倫理性が人文学の領域で必要となることについて台湾での国際シンポジウムで発表し、議論を深化させた。分担者の角南は物質文化資料の熟覧調査を進め、野林や長谷川が翻刻、分析を進めているアーカイブ資料調査との接合を可能とする基礎データの収集を進めた。分担者の田本は代表者らとともにアーカイブ資料の調査を進め、専門分野であるセデック社会や繊織工芸の歴史的変化に関わる基礎データの収集を行った。分担者の宮岡は領台初期の研究者間の交流を日本と台湾のアーカイブ資料の調査から探究し、その成果を日本と台湾の国際研究集会において発表した。 研究グループ全体では、台湾側研究者と本科研メンバーが参加するキックオフシンポジウムと位置づけられる国際研究集会を徳島県立鳥居龍蔵記念博物館において開催し、本年度の研究成果の公開と次年度以降の研究の方向性の議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画にしたがい、代表者、分担者の所属機関の収蔵されている民族誌コレクション、アーカイブ資料の基礎調査、分析を代表者分担者の共同で実施するとともに、台湾側の研究者との国際共同調査を、日本側で実施しているアーカイブ調査の成果を活用しながら進めている。また、年度末には台湾側の協力機関である国立台湾史前文化博物館南科考古館を中心とした研究者を日本に招聘し、本研究参画者のほぼ全員が参加する国際研究集会を実施し、本年度の成果と次年度以降にむけた課題について議論を深めることができた。 計画にしたがった調査、研究、普及等を実施するとともに、代表者、分担者の研究が乖離せずに全体としての方向性を明確にしながら研究計画を進めていることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は当初計画におおむね沿った調査、研究を進めることができ、とりわけ、国立台湾史前文化博物館の研究者との国際共同調査の基礎を固めることができたことから、これを継続、発展させた現地調査を実施していく。また、キックオフシンポジウムでは日本と台湾の共通の認識として、領台初期の研究者交流が当時の調査の規模や内容に大きな影響を与えていたことが共有できたので、国内外に所在する当時の研究者、調査者のアーカイブやコレクションの調査を進めていく。
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