2022 Fiscal Year Annual Research Report
Learning new things by healthy older adults: Models with emotional/motivational functions, time perspectives, and contents-familiarity
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22H00088
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原田 悦子 筑波大学, 人間系, 教授 (90217498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増本 康平 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20402985)
榊 美知子 高知工科大学, 総合研究所, 客員准教授 (50748671)
須藤 智 静岡大学, 大学教育センター, 准教授 (90548108)
松室 美紀 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (90822859)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 認知的加齢 / 学習を支える感情基盤と動機づけ / 予測 / 時間的展望 / 学習と内容熟知性 / 認知過程モデル・シミュレーション / 遺伝的個人差と加齢変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,人が新奇な事項・事象を学習する際の認知的メカニズムとその(健康な)加齢変化に伴う影響を明らかにすることを目的とし,いわゆる認知機能だけではなく,学習を支える感情基盤と動機づけ,とりわけそのメカニズムとしての予測という認知過程の効果とそのメカニズム,加齢変化の機序の要と考えられる時間的展望の影響とその個人差の遺伝/心理/行動指標による検討,さらに学習内容の熟知性がもたらす学習への影響について,総合的組織的に検討することを目的として進められている. 学習の感情基盤と動機づけとしては,好奇心や課題難易度が予測にどのような影響を与えうるのか,また予測が既有知識とどのような関係性を持つのかについて,認知神経科学的な検討も含めて,実験的な検討を進めている.加齢変化が大きく現れる時間的展望については,その測定方法の検討と個人内変動,学習や主体的活動出現さらに意思決定スタイルへの影響と共に,それらの基盤となる自己規定記憶のバイアスに表れる遺伝的影響についてもアプローチを進めている. いずれの研究においても,既有知識の有無や学習内容に対する熟知度(親近性)の影響が関与しているが,特に新たな要因として視空間的探索とそれによって構築される構造・関係性の学習において,熟知性が与える影響およびそこにある加齢変化についての実験研究を進めてきている. 高齢者にとっての新奇事項の学習過程の事例としては,ウェアラブル健康情報機器の利用学習過程等について検討を行い,既有知識やその枠組みがもたらす内容熟知性の必要性,そこで好奇心をもたらす動機づけとその阻害要因を明らかにしつつ,実行可能な高齢者の学習支援の在り方についても議論を深めている.そうした中で熟知性familiarityの多義性・多様性についても明らかになりつつあり,さらなる検討の必要性が認められてきている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初立てていた,新奇事項の学習における感情・動機づけ,時間的展望,熟知度の影響について,5つの研究組織体それぞれが研究を進める中で,情報交流と議論の中で,相互の関係性に新たに気付かされつつ,研究課題を追究している.総合的組織的なアプローチとして,高齢者の学習に関する認知過程モデル・シミュレーションの構築を行っていく予定で,2022年度は研究を進めてきたが,分担研究者が一時的に在外研究を行うこととなったため,その部分については一時保留としたが,引き続き研究交流を行っていくことで,全体としては順調に進展しているものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
高齢者と若年成人(大学生)の学習過程とそこに関与する要因の影響を比較するという方法論で,多くの新たな現象が見出されつつあるため,好奇心や予測の及ぼす効果,時間的展望とその個人差の要因,多様な内容熟知性の記述分類的理解とそれらの影響の在り方の検討を進めつつ,実際の新奇事項・事象の学習場面における学習過程の分析を対象として,それら要因の効果の現れ方とその大きさを検討し,総合的・組織的なモデル化を志向する.
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