2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of neuronal circuits for proactive metacognition based on imagination for the future and others in primates
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22H00092
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮本 健太郎 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (20778047)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | メタ認知 / 社会的意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
自身のメタ認知能力を、他者の知覚成績の予測のために投影して用いる社会的メタ認知能力の神経基盤について、健常ヒト成人を対象にしたfMRI・TMS研究によって明らかにした。前外側前頭葉が社会的メタ認知に基づいた他者の認知成績予測に欠かせない役割を果たすのに対して、頭頂側頭接合部は学習によって他者の行動を推測する働きを担うことを解明した。とりわけ、前外側前頭葉の活動量はmeta-d'の指標で測られる社会的メタ認知能力と相関し、前外側前頭葉の活動を不活性化すると、メタ認知能力は障害を受けるが、知覚能力には影響が及ばないことが分かった。 展望的メタ認知能力の神経基盤をマカクとヒトで比較する研究を進めた。前年度までにfMRI解析を行い、神経相関を同定していた。本年度は、経頭蓋超音波刺激法を用いて、内的な不確実性の評価に関わる腹側前頭葉、外的不確実性の評価に関わる前頭眼窩皮質の活動をそれぞれ非侵襲的に阻害することで、この二つの領域が、視覚意思決定に先行するメタ認知比較判断において、二重乖離した働きを担うことを明らかにした。従来マカクにおけるヒトの前外側前頭葉領域の解剖学的相同領域は存在しないと考えられていたが、この研究によって、その機能的相同領域が明らかになった。 展望的メタ認知に基づいた反実仮想と思考実験のメカニズムに関する前頭極と全外側前頭葉の役割に関する新モデルを提案する総説、霊長類の回顧的メタ認知、展望的メタ認知の神経回路動態に関する総説を執筆し、査読の後、公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトの社会的メタ認知、マカクの展望的メタ認知のプロジェクトに関して、それぞれ、収集したデータの解析を完了した。前者に関しては、成果をまとめた原著論文が査読中、後者については、原著論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
経頭蓋超音波法が脳活動にもたらす効果について、マカクに経頭蓋超音波イメージング法を適用して検証する。具体的には、刺激のシーケンスや強度を変化させて、脳活動抑制効果の空間的・時間的なプロファイルを明らかにする。この予備的検討によって、経頭蓋超音波刺激法のプロトコールを洗練させて、社会的意思決定課題を遂行中のマカクに適用し、マカクの社会的メタ認知の神経基盤を明らかにする。
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