2022 Fiscal Year Annual Research Report
Stochastic Processes and Stochastic Analysis on Disordered Media
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22H00099
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
熊谷 隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90234509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠岡 誠一郎 京都大学, 理学研究科, 教授 (20646814)
Croydon David 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (50824182)
福島 竜輝 筑波大学, 数理物質系, 教授 (60527886)
木上 淳 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90202035)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 確率論 / 複雑系 / 数理物理 / 解析学 / ポテンシャル論 |
Outline of Annual Research Achievements |
1。熊谷は、S. Andres氏、D. Croydon氏との共同研究で、異常拡散現象を引き起こすBouchaudのtrap modelと呼ばれる、離散ランダムウォークの時間変更に関するモデルについて、熱核の対角評価の振動が(ランダム媒質に関して)確率1で起こることを、熱核に関する重複対数の定理を示すことで証明した。振動の振幅の度合いはtrap modelのパラメータに依存するが、この共同研究ではパラメータに応じた振幅を詳細に解明した。 2。楠岡は、特異確率偏微分方程式と従来の確率微分方程式の理論における細かな違いが解の一意性やマルコフ性に与える影響について、具体例をもって考察したものを論文としてまとめた。また、指数確率量子場測度の研究について、査読者によるコメントを踏まえ、平均化による近似に対しても同様の構成の手法が適用できることを論文に追記した。 3。木上は、距離空間の上に local regular Dirichlet 形式が得られるための十分条件を用いて、多角形をベースとした局所対称性を持つ自己相似集合上に拡散過程の構成できるための十分条件を得た。 4。福島とCroydonは、S. Junk氏との共同研究で、前年度に引き続きMott variable range hoppingというランダム媒質中のランダムウォークの研究を行った。局在が起こる点の間の有効抵抗がheavy-tailedの場合に劣拡散的なスケール極限を決定した研究に続いて、blockingがextremalな場合の局在が起こることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度から代表者、分担者が積極的に国際共同研究を展開し、着実に成果を積み上げているため。コロナによる移動制限が大きく緩和し、22年度の夏には海外渡航も比較的容易になり、代表者、分担者が海外渡航を行い、また海外の有力研究者も来日して、対面による密度の濃い議論を展開することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、対面による国際共同研究を本研究の軸としていく。 研究の目的に記した3つの課題を中心に、代表者、分担者がそれぞれの持ち味を生かした研究を展開する。特に、飛躍型確率過程(非局所作用素)のランダム媒質への応用については、いくつかのグループによる競合も起こっているので、これまでの研究の蓄積を武器にこの1-2年でより精密な解析を目指す。
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