2023 Fiscal Year Annual Research Report
Ab-initio analysis on auroral structure formation, dynamics, and particle acceleration
Project/Area Number |
22H00116
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
渡邉 智彦 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30260053)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前山 伸也 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (70634252)
能勢 正仁 名古屋市立大学, データサイエンス学部, 教授 (90333559)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | オーロラ / プラズマ / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
磁気圏-電離圏結合の局所磁気流体モデルを用いた高解像度シミュレーションにより、オーロラ発達の非線形乱流状態におけるエネルギースペクトルが垂直方向波数の-5/3乗に比例することを同定した。これはFAST衛星の観測とよく一致する。さらに、磁場平行方向波数が垂直方向波数の3/2乗に比例することを同定し、磁気流体乱流理論による予測と対応する結果を見出した。 磁場強度依存性を取り入れた粘性係数モデルを導出し、双極子磁場配位を用いた磁気圏-電離圏結合の非局所シミュレーションによりオーロラ発達の非線形発展と乱流遷移過程の再現に成功した。フィードバック不安定性の非線形飽和時に現れるケルビン・ヘルムホルツ(K-H)不安定性により渦構造が形成され、後に乱流状態へ遷移すること、また、十分に発達した乱流状態では、オーロラにともなう乱流揺動が緯度方向へと広がる現象を新たに見出した。 ジャイロ運動論を用いたオーロラ発達の非線形シミュレーションに初めて成功し、磁気流体モデルを用いた場合と同様に、2次的なK-H不安定性が発生し、乱流遷移が生じることを示した。これと同時に、分散性アルヴェン波にともなう磁場平行方向の電場により、電子加速が生じることを明らかにした。 2022年3月5日にアラスカ・ポーカーフラットから打ち上げられた科学観測ロケットに磁気インピーダンスセンサーを用いた磁力計を搭載し、脈動オーロラに伴う磁場変動観測を行った。この観測と薄層近似した電離圏への電子降下によるオーロラパッチモデルの計算結果を比較した結果、脈動オーロラパッチは、極側に下向きで赤道側に上向きの1対の沿磁力線電流を伴い、この電流により磁場変動が生じていると結論付けた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
局所磁気流体モデルを用いた磁気圏-電離圏結合のシミュレーションにおいて、不安定性によって自発的に駆動される乱流が、理論や観測結果と非常に良い一致を示すなど、期待していた以上の成果が得られている。非局所モデルを用いた非線形解析においても、乱流揺動の広がりなどの新たな現象が見出された。ジャイロ運動論を用いた非線形シミュレーションにも成功し、課題は順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り、非線形磁気流体モデルを用いた非局所シミュレーションを経度方向により大規模なスケールへと拡張し、対流電場分布による効果を調べる。また、ジャイロ運動論的シミュレーションの空間解像度をより向上させるとともに、非線形加速項や双極子磁場形状の導入を進める。
|