2022 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration of energy conversion mechanisms in a solar flare by X-ray focusing imaging-spectroscopy using the opportunity of the US-Japan joint sounding rocket experiment
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22H00134
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
成影 典之 国立天文台, 太陽観測科学プロジェクト, 助教 (50435806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三石 郁之 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (90725863)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 日米共同・太陽X線観測ロケット実験FOXSI-4 / 磁気再結合 / プラズマ加熱 / 粒子加速 / 太陽フレア / X線集光撮像分光観測 / X線用・高速度カメラ / 電気鋳造X線ミラー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、宇宙の活動の一翼を担う磁気再結合を出発点としたエネルギーの変換過程を解明するために、最も身近な磁気再結合現象である太陽フレアを研究対象とし、エネルギー変遷を定量的に評価することを目的とする。太陽フレアでは加速粒子が解放エネルギーの一定量を担うと考えられているが、既存の観測・理論では加速粒子を十分に評価できていない。そこで本研究は、加速粒子の評価も可能な「X線集光撮像分光」という新機軸の太陽フレア観測をNASAの観測ロケットを用いた飛翔機会(FOXSI-4)によって実現するとともに、「観測されたX線スペクトルから加速機構を検証する理論モデル」を構築することで、エネルギー変遷の全容の理解を目指す。 2022年度は、観測ロケット実験FOXSI-4の実施に向けて、「X線高速度カメラ」や「高精度電気鋳造X線ミラー」といった日本が担当するキー技術の開発を実施した。「X線高速度カメラ」は、25μm厚の感受層を持つ裏面照射型CMOS検出器を用いたカメラを開発した。これにより、太陽フレアから放たれる10keVまでのX線に対し、十分な感度を持たせることができた。「高精度電気鋳造X線ミラー」は、FWHMで1秒角以下、HPDで15-20秒角程度の空間分解能を達成した。 また数値計算においては、太陽フレアを2次元で再現したMHD計算結果を背景場とし、その中でのテスト粒子の運動と伝搬を追跡することで、粒子の加速が可能な領域と、そこで起きている加速機構を調査する取り組みを開始した。 FOXSIシリーズで取得するX線撮像分光データは、新しい種類のデータである。そこで、その普及のために、2023年3月に2日間の日程で、FOXSI-3(2018年打ち上げ)で取得したデータの解析研究会を実施した。 これらの活動には大学院生や若手研究者も参加しており、本研究は学生教育や若手育成にも役立っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、観測ロケット実験FOXSI-4の実施に向けて、「X線高速度カメラ」や「高精度電気鋳造X線ミラー」といった日本が担当するキー技術の開発を実施した。「X線高速度カメラ」は、25μm厚の感受層を持つ裏面照射型CMOS検出器を用いたカメラを開発した。これにより、太陽フレアから放たれる10keVまでのX線に対し、十分な感度を持たせることができた。「高精度電気鋳造X線ミラー」は、FWHMで1秒角以下、HPDで15-20秒角程度の空間分解能を達成した。また、振動試験を実施し、ロケット打ち上げ時の振動に耐えられることを確認した。このように、観測ロケット実験FOXSI-4の実施に向けた準備は順調に進んでいる。 また数値計算においては、太陽フレアを2次元で再現したMHD計算結果を背景場とし、その中でのテスト粒子の運動と伝搬を追跡することで、粒子の加速が可能な領域と、そこで起きている加速機構を調査する取り組みを開始した。 FOXSIシリーズで取得するX線撮像分光データは、新しい種類のデータである。そこで、その普及のために、2023年3月に2日間の日程で、FOXSI-3(2018年打ち上げ)で取得したデータの解析研究会を実施した。研究会の参加者は16名で、うち大学院生が9名であった。このように本研究の活動には大学院生や若手研究者も参加しており、本研究は学生教育や若手育成にも役立っている。 本研究に関連して、論文2編、学会発表32件の成果も出しており、本計画は当初の予定通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
【2023年度】観測ロケット実験FOXSI-4に関しては、米国での観測装置の組み立て作業が始まり、観測装置全系での評価試験を行う。11月には観測装置をロケットに組み込み、打ち上げに向けた各種試験を実施する。2024年に入ると、打ち上げを行うPoker Flat Research Range(米国アラスカ州)にロケットを輸送し、2024年4月の打ち上げに向けて射場での準備作業を開始する。FOXSI-4の観測対象は太陽フレアであるが、発生予測が困難なフレアを観測時間が約5分間に限られる観測ロケットで観測することはNASAでも初めての試みであり、太陽をリアルタイムでモニタしフレア発生と同時に打ち上げることで実現させる。そのため、打ち上げのリハーサルは極めて重要であり、フレアの規模予測も含めて実施する計画である。 数値計算については、2022年度に開始したMHD計算+テスト粒子計算を発展させていく。 【2024年度】FOXSI-4の打ち上げ(4月の予定)を実施し、世界初の太陽フレアX線集光撮像分光観測を実施する。打ち上げ時には、他の観測装置との共同観測も実施する。打ち上げ後は、直ちにデータ解析の準備に取り掛かる。具体的には、X線光子イベントの抽出、データ較正、共同観測データの確認などである。その後、日米FOXSIチーム合同で初期成果検討会合を開催し、観測したデータから成果を出せるテーマを検討する。その上で、各テーマごとに解析班を編成し、初期成果の創出にあたる。数値計算では、MHD計算+テスト粒子計算を用い、FOXSI-4が観測したフレアを再現することで、観測データ解析と相補的に研究を進める。フレアの再現は、FOXSI-4と同時観測する磁場データを用いたデータ駆動型シミュレーションで実施する計画である。 以上をもって、太陽フレアにおけるエネルギー変換機構を精査していく。
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Research Products
(37 results)
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[Journal Article] The faintest solar coronal hard X-rays observed with FOXSI2022
Author(s)
Buitrago-Casas J. C.、Glesener L.、Christe S.、Krucker S.、Vievering J.、Athiray P. S.、Musset S.、Davis L.、Courtade S.、Dalton G.、Turin P.、Turin Z.、Ramsey B.、Bongiorno S.、Ryan D.、 Takahashi T.、Furukawa K.、Watanabe S.、Narukage N.、Ishikawa S.、Mitsuishi I.、Hagino K.、 Shourt V.、Duncan J.、Zhang Y.、Bale S.
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Journal Title
Astronomy & Astrophysics
Volume: 665
Pages: A103~A103
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Inverse FIP Effects in Giant Solar Flares Found from Earth X-Ray Albedo with Suzaku/XIS2022
Author(s)
S. Katsuda, M. Ohno, K. Mori, T. Beppu, Y. Kanemaru, M. Tashiro, Y. Terada, K. Sato, K. Morita, H. Sagara, F. Ogawa, H. Takahashi, H. Murakami, M. Nobukawa, H. Tsunemi, K. Hayashida, H. Matsumoto, H. Noda, H. Nakajima, Y. Ezoe, Y. Tsuboi, Y. Maeda, T. Yokoyama, N. Narukage
Organizer
COSPAR 2022
Int'l Joint Research
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