2022 Fiscal Year Annual Research Report
究極の素粒子像の解明を目指すミューオン加速技術の新展開
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22H00141
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
大谷 将士 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (90636416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 一仁 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 特任講師 (30547534)
近藤 恭弘 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 主任研究員 (40354740)
二ツ川 健太 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教 (50713153)
惠郷 博文 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (60399615)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ミューオン / g-2 / 円筒装荷型加速管 / IH-DTL / DLS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では申請者がこれまで切り拓いてきたミューオン加速技術の更なる高度化によって、 基礎研究から社会問題の解決まで幅広く貢献する次世代の基盤技術を実現する。特に、現在の素粒子物理学で最も重要視されているミューオン異常磁気能率(g-2)の更なる高精度測定にむけた線形加速器技術を確立と、ミューオンビームを用いたイメージング装置を目指して加速器小型化にむけた加速技術の開拓を行う。 今年度はg-2測定実験のコア技術となる交錯櫛型線形加速器(IH-DTL)の原理実証を行った。既に先行する科研費研究(18H03707)で原理実証器の製作と電磁場分布の測定を行い、誤差電場は想定の2パーセント以下で高品質加速に必要な精度を達成していることを確認した。本研究では、大電力を投入した際のX線強度測定によって、ミューオン加速に必要な電場強度が達成できることを実証した。さらに、電力投入時の熱変形による影響を評価し、実機に必要な冷却チャンネルの評価を設計を行った。本測定結果に基づき、g-2実験のためのIH-DTL実機の大電力試験を行う予定である。 また、高速度領域のミューオン加速を担う円筒装荷型加速管の原理実証器の設計と制作を行った。特に、電力投入ポート(カプラーセル)に必然的に生じる非対称な構造に由来する電磁場分布の歪みによりビーム品質が悪化する恐れがある。そこで、投入ポートに対称な位置に疑似ポート構造を設置し、構造最適化によって電磁場分布の歪みを最小化する設計を行った。最終的にはビームダイナミクスシミュレーションによって十分なビーム品質で加速が実証できることを確認した。本設計に基づいて原理実証器を製作し、基本特性の一つである共振周波数が想定の0.01%程度で一致していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、低速部ミューオン加速器(IH-DTL)の原理実証器大電力試験による実機設計と、高速部(円筒装荷型加速管)の原理実証器の設計・製作を完了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
円筒装荷型加速管の原理実証器の詳細測定を行う。具体的には、カプラーセルと加速部とのカップリング測定とそれに伴う移相を測定する。移相が想定から変化することでミューオンビームと加速高周波電場のタイミングがずれ、ビーム品質を悪化する恐れがある。そこで、実測結果に基づくビームダイナミクスシミュレーションによって想定されるビーム品質を評価するとともに、等価回路モデルに基づいて移相測定結果を考察し、要求されるビーム品質を達成するために調整手法を開発する。
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Research Products
(41 results)