2022 Fiscal Year Annual Research Report
光格子時計の宇宙応用による標準理論を超えた物理学の開拓
Project/Area Number |
22H00148
|
Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
国分 紀秀 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (50334248)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 光格子時計 / 衛星測位 / 大気球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終的な目標は、標準理論を超えた物理学の開拓を目指して、従来の原子時計より3 桁も高い性能を実現する光格子時計を用いて一般相対論の精密検証・暗黒物質探査などに関する基礎物理学実験を衛星軌道上で実施することである。その最初のステップとして国際宇宙ステーション(ISS) への搭載を目指した実証機の開発を進める。本年度は必要な機材の準備と並行して、地上での社会実装に向けて開発されている最新の光格子時計の詳細を把握しつつ、それを宇宙応用するにあたって特に必要となる技術要素に絞った開発を進めた。特に、異なる波長のレーザーを必要な時間精度でタイミング制御し、光検出器からの信号を元に変調周波数へフィードバックする機能を、PC上のソフトウェアを介さずにFPGAベースで行う基板を設計・製作して要素試験を実施した。さらに、地上と衛星間で高精度に周波数比較を行うために必要となる技術に関する調査検討を行い、その実証試験計画の具体的な策定を立案した。また、ISS搭載よりも短い時間スパンで実現可能な宇宙環境実証試験として、大気球を用いた高度数10kmでの周波数比較実験を新たに構想し、数年かけて段階的に放球機会を獲得して実証度を高めていく提案を行った。その最初のステップとして気球高度での高精度測位の実証を相乗り気球にて次年度に実施する提案が採択されたため、気球搭載用のGNSS測位モジュールを開発・製作して地上での試験を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に加えて大気球実験を追加することとし、気球搭載用要素技術モジュールの開発を行なった。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ISS搭載を目指した実証機の開発を進めるのと並行して、気球実験による部分的実証のための開発を行う。
|