2022 Fiscal Year Annual Research Report
爆発的火山噴火を引き起こすマグマの破壊現象の解明:変形するマグマの時分割構造解析
Project/Area Number |
22H00161
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
奥村 聡 東北大学, 理学研究科, 准教授 (40532213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂巻 竜也 東北大学, 理学研究科, 助教 (30630769)
小園 誠史 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 火山防災研究部門, 主任研究員 (40506747)
上杉 健太朗 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 散乱・イメージング推進室, 主席研究員 (80344399)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マグマ破壊 / 爆発的火山噴火 / 時分割構造解析 / X線小角散乱 / 液体・固体転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
爆発的火山噴火は,マグマが粉々に破壊し,勢い良く地表へ噴出することで発生する。マグマの破壊は噴火様式や強度を決定づける重要な過程であるが,液体的に流動するマグマが破壊するメカニズムは未だ不明である。本研究では,放射光X線回折・散乱法を用いた実験システムを開発し,マグマの液体・固体転移をその場観察する.そして,液体から固体的挙動へ転移する過程においてマグマの微視的構造がどう変化するのか明らかにすることを目的としている。 今年度は主に、変形するマグマの微視的構造変化の観察と加速条件でのマグマ破壊の実験を行った。まず変形するマグマの微視的構造をX線回折・小角散乱法で明らかにするために,SPring-8に設置可能な引張試験機と電気炉を設計し作成した。珪酸塩メルトの短距離構造を調べるために、特に広角のX線回折の取得を目指した。作成した試験機と電気炉を用いて得られる回折角は十分となったが、検出器の大きさが不十分であった。次年度は更に広角まで取得可能なフラットパネルを利用する予定である。 また加速条件でマグマの破壊実験を行うための試験機を設置し、予備実験を進めた。ただし、試験機の設置が予定よりも遅くなりマグマの破壊実験を完遂するまでには至らなかった。実験装置の設置等は終了しており、次年度以降に実験を進める上での障害は見当たらない。 さらに既存のマグマ破壊条件を火道流モデルと組み合わせた物理モデルの構築とテスト計算も進めた。上記のマグマ破壊実験から新しい破壊条件の必要性が示されつつあるので、次年度以降、その新しい破壊モデルを火道流モデルと組み合わせる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
変形するマグマの微視的構造変化について、時分割X線構造解析により新しい発見があった。つまり非ニュートン領域において珪酸塩メルト中の中距離構造が弾性的に変形し、さらにそれは異方性を示すことなど新しい発見があった。その一部については、既に論文発表することができた。それ以外の点についても論文準備中である。さらに短距離構造の解析も進めている。初年度から質的に新しい発見があり計画は予定以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
特に大きな障害は見当たらないため、計画を前倒しして進める。つまり珪酸塩メルトの分子スケールでの構造変化とマクロレオロジーの関係を明らかにするために時分割構造解析実験を大きく進め、さらに分子動力学シミュレーションを用いた研究を開始する。
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Research Products
(11 results)