2022 Fiscal Year Annual Research Report
Recycling of continental crust revealed by volatiles in diamond and chromian spinel in ultrahigh-pressure metamorphic rocks
Project/Area Number |
22H00171
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
角野 浩史 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (90332593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鍵 裕之 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70233666)
苗村 康輔 岩手大学, 教育学部, 准教授 (50725299)
吉田 健太 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門(火山・地球内部研究センター), 副主任研究員 (80759910)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ダイヤモンド / クロムスピネル / 大陸地殻 / 超高圧変成岩 / 希ガス同位体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、かつて地球深部のマントルに沈み込み、その後に地表へ再上昇(リサイクル)してきた大陸地殻物質である超高圧変成岩中の、マイクロダイヤモンドや超高圧クロムスピネルに含まれる極微量の揮発性成分(希ガス、ハロゲン、水・炭酸塩)の含有量や同位体比を手がかりに、マントル深部で捕獲された流体の起源を明らかにし、大陸地殻のマントル深部への沈み込みと、そのリサイクルを制御しているメカニズムを解明することを目的としている。これにより「なぜ、どのような条件で、マントルより低密度の大陸地殻が沈み込み、また地表に戻ってくるのか?」という謎を解き、大陸地殻の成長史と、マントル内の化学的不均質の進化史の理解を大きく進展させることを目指す。 本年度は、岩石試料の薄片の偏光顕微鏡観察による記載と、EPMA分析による主要鉱物の化学組成及び累帯構造から変成条件(温度・圧力)を推定した、チェコやスロヴェニアの超高圧変成岩から超高圧を経験したクロムスピネルを分離し、その内部の二酸化炭素や水の濃度を新たに導入した真空対応の顕微赤外分光装置を用いて定量することを試みた。その結果、クロム濃度が比較的高い本研究の試料においては、赤外光の透過率が非常に小さく、試料を数十ミクロンの薄さまで研磨しないと赤外スペクトルが得られないことが分かった。この薄さでは試料内部の、二酸化炭素や水のホストと考えられる流体包有物も研磨表面に露出し揮発性成分が失われてしまうため、本研究で対象とするクロムスピネルでは顕微赤外分光法による揮発性成分の非破壊分析は難しいことが分かった。 また一部の試料については、次年度以降のハロゲン(F、Cl、Br、I)分析のために、京都大学のKUR研究用原子炉にて中性子を照射した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
超高圧変成岩からのクロムスピネルの分離と、結果として難しいことが分かったが顕微赤外分光による揮発性成分の定量の検討は順調に進み、来年度の分析に備えた試料の中性子照射も予定通り実施できた。ただし当初想定していた顕微ラマン分光法の高度化の検討は、予期せず発生した顕微ラマン分光高度計の光学顕微鏡の透過光源部の不具合により予定通り実施できず、翌年度への繰越金が発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初想定より遅れている顕微ラマン分光装置の感度向上を実施する。具体的には分光器の更新により信号のスループットを向上し、それによって天然試料中の流体包有物の観察や高圧下での含水鉱物のスペクトル測定を行う。得られた結果については、当初計画にある超高圧変成岩の分析結果と総合的に比較することで、より詳細な地球内部での揮発成分の挙動解析を行うことが可能となると期待される。
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Research Products
(6 results)