2022 Fiscal Year Annual Research Report
融液成長の限界を超越する新規ルツボフリー成長法によるGa2O3の成長と欠陥評価
Project/Area Number |
22H00204
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉川 彰 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50292264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿本 浩一 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (90291509)
赤岩 和明 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (90778010)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 融液成長 / パワー半導体 / 基板 / 酸化ガリウム / ルツボフリー / 結晶欠陥 / 結晶成長シミュレーション / エピタキシャル成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、次世代のパワー半導体材料として期待されている酸化ガリウムについて、ルツボを用いない新規の結晶成長方法「スカルメルト+Cz法」を開発し、欠陥発生メカニズムの解明、およびその抑制を実施する。本手法は、高周波誘導加熱を利用し、原料を直接加熱する手法である。したがって、加熱する磁場の周波数の値や出力はメルトの温度分布に敏感に影響するため、非常に重要なパラメータである。本年度は結晶を安定的に成長させるための条件の解明を第一とし、現状での結晶欠陥の評価を行った。さらに本手法の特徴である結晶成長中の雰囲気を高酸素分圧下で実施できる点に着目し、酸素濃度を変化させて実験を行った。 また、デバイス試作のための薄膜について成長させた基板の上にホモエピタキシャル成長し、界面の評価を行った。エピタキシャル成長において、基板と薄膜の界面は最も重要なパラメータである。特に基板の界面の粗さやコンタミによりエピタキシャル成長が阻害される恐れがある。これについては、基板表面の研磨の条件やその後の洗浄の条件を検討することで、問題なくエピタキシャル成長可能な条件を探索する。 結晶成長実験については、周波数の値を変化させることでメルトの温度分布が変化し、結晶成長速度や直径が変動することが分かった。これらの結晶をX線回折により評価した結果、数°程度結晶方位のズレた小角粒界が発生していることが分かった。小角粒界は、転位が規則的に並ぶことで角度ズレを発生させるため、この原因は転位が多く発生したことが原因と考える。したがって、現状はまだ温度勾配が大きいため、この温度差によりせん断応力が発生し、転位の増殖が起こったと考える。 エピタキシャル成長においては、CMP研磨や洗浄方法を検討することで、電子顕微鏡では判別できない程の綺麗な界面を作製することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年の期間の間で、ルツボを用いない結晶成長方法特有の結晶欠陥の解明を行う計画である。したがって、初年度は結晶成長の安定化と現状での結晶評価方法の確立など今後の研究の基礎を行う計画を立てた。例えば、結晶成長に関しては、酸素濃度、成膜速度、メルトの温度分布など基本的な結晶成長条件の最適化を実施した。その結果、どのパラメータがどの程度結晶成長や欠陥発生に寄与しているかを明らかにすることが出来た。また、結晶の評価については、X線回折やPL測定、エッチピット測定など酸化ガリウムを評価する上で不可欠な手法について、測定条件の解明など基礎となる知見を得ることが出来た。エピタキシャル成長においても、エピレディの基板表面を作製する条件や、ミストCVD法で成膜不良なくエピタキシャル成長できる条件を確立することが出来た。 以上のことから、当初の計画から大きく遅れることなく、順調に研究を進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、今年度問題となっていた小角粒界の抑制について第一に行う必要がある。小角粒界は一度発生すると取り除くことが困難であるため、種結晶の段階からこれらの粒界のないものを作製する必要がある。そのためには、何度か結晶を成長させ、粒界のない領域を切り出していく必要がある。この種結晶については、何種類かの結晶方位について実施を行い、小角粒界のない結晶を作製する予定である。 その後、結晶全体の転位密度を低減するために、対流速度や結晶の直径制御に関して検討を進める。本手法では、非常に高い周波数の磁場を使用するため、メルトの対流も磁場の影響で激しくなっている。したがって、対流を適度に抑制することで固液界面形状や温度勾配について制御することが可能となる。結晶の評価については、X線回折やエッチピット測定を行う予定である。 エピタキシャル成長については、ミストCVD法により、溶液中の組成や成長条件に関して検討を行う必要がある。特に、基板の結晶方位は表面エネルギーが異なるため成長条件と密接に関係している。したがって、結晶方位に従ったそれぞれの成長条件の解明が必要となる。検討予定結晶方位としては、(010)面や(001)面など低指数の結晶方位を利用し、原理、現象の解明を優先させる予定である。 電気特性については、CV測定やショットキーバリアダイオードの試作により実施する予定である。今後は簡易のデバイスを試作しIV測定やエミッション顕微鏡による欠陥分析などを行うことで問題となる結晶欠陥を解明する予定である。最終年度では、デバイスに悪影響を及ぼすキラー欠陥の特定を実施するため、今年度では、それに向けてデバイスの試作を進める予定である。
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[Presentation] The crystalline quality of b-Ga2O3 single crystals grown by the specially-developed crucible free growth technique2022
Author(s)
I. Takahashi, V. Kochurikhin, T. Tomida, Y. Shoji, G. Liudmila, T. Sugawara, Y. Yao, K. Sato, Y. Ishikawa, K. Kamada, K. Kakimoto and A. Yoshikawa
Organizer
The 19th International Conference on Defects-Recognition, Imaging and Physics in Semiconductors
Int'l Joint Research
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[Presentation] OCCC法によるβ-Ga2O3単結晶の育成と成長条件の検討2022
Author(s)
高橋勲, Vladimir Kochurikhin, 富田健稔, 姚永昭, 佐藤功二, 石川由加里, 菅原孝昌, 庄子育宏, 鎌田圭, 柿本浩一, 吉川彰
Organizer
第83回応用物理学会秋季学術講演会
Int'l Joint Research