2023 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト2nm世代スピントロクスデバイス実現に向けた材料・デバイス・回路技術
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22H00214
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 裕一郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50618361)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | シリコンスピントロニクス / シリコン / スピン流 / スピンデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は下記の(A)~(C)に関連する研究を実施し,以下に示すような結果を得た. (A)シリコンデバイスの高速応答特性を評価するために,高周波電流源を用いてスピン信号の特性評価を行った.10Hzから100kHzまでの間でスピン輸送信号の評価を行い,電荷に起因する電圧成分,およびスピンに起因する電圧成分の詳細な切り分けを行ったところ,スピンに固有の容量成分が存在することが判明した. (B)スピンの向きや総数を自在に制御することにより,論理演算を行うシリコンチャネル・スピン論理演算素子の実現を目指す研究を行った.デバイス加工の最適化を行ったところ,通常のプレーナー型スピン素子において,7オームを超える巨大なスピン依存抵抗を発現することに成功した.本結果は微小電流でも十分なスピン機能を発現できる可能性を示唆しており,多彩なスピンデバイスの基礎となる技術である.次に本作製手法を用いて非共線配置のスピンデバイスを作製した.スピンの回転操作のON/OFF,ゲート電圧のON/OFFにより,1素子で複数の演算内容を切り替え可能なスピン論理演算素子の室温原理実証に成功した. (C)ショットキー障壁により高効率なスピン流電流変換を実現できるシリコンベースMESOデバイスの創成を目指し,強磁性体スピン注入源,シリコンスピン輸送チャネル,スピン流電流変換材料(SOI材料)が積層された基板を用いてMESO構造の作製を行った.作製プロセス過程において,シリコンチャネルのダメージが顕著であることが判明し,現在までのところスピン流―電流変換現象は得られていない.本目的のためにはフッ酸等のウェットプロセスの手法,時間の最適化が必要であることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しい物理現象の発見や,新規デバイス機能の実証等は順調に進んでいる.従って総合的に見れば概ね順調に進展していると判断できる.いくつかの研究内容については論文執筆の段階に到達していると判断できるため,今後は論文執筆にも注力したい.
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Strategy for Future Research Activity |
シリコンデバイスの高速応答については実験装置の拡充を図り,GHz領域まで評価し,学理の開拓を進めていきたい.MESOデバイスなどの新規スピンデバイスについては,まずは微細加工技術の改善を図り,室温での動作実証を図っていく予定である.また新しい展開として量子演算との融合を図り,より少数のスピンで駆動するスピンデバイスを創製し,高感度スピン検出の技術開発も図っていく予定である.
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