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2022 Fiscal Year Annual Research Report

Canalization-based control: Learning from centipedes to establish strategies for self-organization of purposive behavior

Research Project

Project/Area Number 22H00216
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

青沼 仁志  神戸大学, 理学研究科, 教授 (20333643)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 石黒 章夫  東北大学, 電気通信研究所, 教授 (90232280)
安井 浩太郎  東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (70876739)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2027-03-31
Keywords行動生理学 / 自律分散システム / 合目的的行動 / 自己組織化 / 制御構造
Outline of Annual Research Achievements

実世界環境の中を自在に移動することは,動物の根源的な能力であるが,これに比肩しうる能力を備えたロボットは未だ実現できていない.その原因は,環境の徹底した既知化に基づく現在のロボット制御法に潜んでいると考えた.そこで,動物が進化させた「制御原理」に学ぶことで,この難題にブレークスルーをもたらすことができる.動物は,時々刻々と変化する予測不能な環境の中でも,おかれた状況に応じて合目的的に行動する.このような適応的は行動の発現基盤となる神経系や筋骨格系の機能を理解し,そして,その制御メカニズムを説明するモデルを構築することで原理を抽出し,キャナライゼーション・ベースト制御を構築することを目指して研究を進めている.
本研究では,多くの動物で普遍的にみられる行動である『脅威に対する応答』に着目した.動物の普遍的な行動は,進化の過程で多様な動物種で保存されているため,節足動物のような無脊椎動物でも観察できる.そこで,機械的な接触刺激,配偶者や食物を争う同種他個体との遭遇などを脅威刺激として捉え,その時の行動や中枢神経系で神経修飾物質としてはたらく生体アミン類の計測に取り組んだ.その結果,脅威刺激に対して応答する行動の発現と,中枢神経系における生体アミンの量的な変化との関係性について捉えることができた.また,ムカデの多様なロコモーションを生み出す自律分散的な制御則を結合振動子系と局所感覚フィードバック制御をベースとして数理言語化することを試みた.その結果,体幹の回転と当該体幹にある左右の脚との間で協調関係を生み出すような局所的な制御が重要であるとの知見を得た.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は,状況に応じて,個体の内部状態がどのように変容するのかにについて理解するために,中枢神経系で神経修飾物質としてはたらく生体アミン類に着目した.動物は,状況に応じて脅威刺激に対して,逃避,防御,無反応する.それぞれの応答の違いは,個体の内部状態の違いの反映として表出している.そこで,内部状態を定性定量的に捉えるために高速液体クロマトグラフィー法で中枢神経系内のアミン量を計測する準備を進めた.ムカデ類の中枢神経系に存在する神経伝達物質や神経修飾物質の働きについては,これまであまり研究がなされてこなかったため,その解明について,本研究では世界に先駆けての挑戦となった.そこで,ムカデ類の神経修飾物質のはたらきを詳細に調べるため,昆虫類との比較が重要と考えて,比較生化学実験を進め,その理解が深まりつつある.
多自由度の身体の運動制御メカニズムの解明に向けて,実験動物の筋骨格系の解剖学的な構造について,X線マイクロCTを使って計測した.多足類のムカデは,同じ節足動物の昆虫と比べて体節構造の連続性,付属肢の運動制御においては伸展筋の代わりに水圧系を使用するなどの違いがある.そこで,ムカデ類と昆虫類の筋骨格系の比較解剖学を行うことで,ムカデ類の運動制御の仕組みについて理解が深まりつつある.
ムカデ類の多様なロコモーション様式を生み出す原理を抽出するため,自律分散的な制御則を結合振動子系と局所感覚フィードバック制御をベースとして数理言語化することを試みてきた結果,体幹の回転と当該体幹にある左右の脚との間で協調関係を生み出すような局所的な制御が重要であるとの知見を得た.現在,この知見をベースとして,ムカデが示す多様なロコモーション様式を再現しうる制御則構築へと発展させるべく研究を進めている.

Strategy for Future Research Activity

引き続き,個体の内部状態に応じた行動のキャナライゼーションのメカニズム解明に向けて,行動生理学実験を行い,そこから得られた結果に基づいてモデル構築を進める.
1)動物の内部状態を変容させる中枢神経系の生理機能: ムカデが,不意な機械刺激に対して逃避もしくは攻撃的な行動で応答する際の脳の生理状態を,脳内の神経修飾物質(生体アミン)の量的な変化として捉え,高速液体クロマトグラフィー法を使って計測する.また,行動薬理学実験で,脳内アミンの濃度を人為的に操作して行動のキャナライゼーションを実験的に誘発する方法を確立し,脅威に対する行動の変化を計測する.
2)行動のキャナライゼーションモデルの構築: ムカデ類の多様なロコモーション様式を生み出す原理を紐解くため,自律分散的な制御則を結合振動子系と局所感覚フィードバック制御をベースとした数理言語化を進める.そして,状況に応じた行動が自己組織的に生成するキャナライゼーションモデルの構築へと展開する.
3)実機実装実験のためのプラットフォーム構築: 構築したモデルのアルゴリズムを実装するための実機の制作に取り掛かり,他自由度の身体構造を環境の変化に即時的に適応させる制御則構築と設計について検討する.

  • Research Products

    (6 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] The larval scaffold controls fascicle number but is not required for formation of the dorsolongitudinal flight muscles in Manduca sexta2022

    • Author(s)
      Ludwig J.C., Aonuma H. and Trimmer B.A.
    • Journal Title

      Arthropod Structure and Development

      Volume: 68 Pages: 101170

    • DOI

      10.1016/j.asd.2022.101170

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Presentation] 多脚歩行に通底する脚と胴体の協調制御則を探る2023

    • Author(s)
      清野源太,山一竜光,杉山悠聖,安井浩太郎,加納剛史,石黒章夫
    • Organizer
      第35回自律分散システム・シンポジウム
  • [Presentation] ムカデの歩行制御則はヤスデにも適用できるのか?2023

    • Author(s)
      山一竜光,杉山悠聖,清野源太,安井浩太郎,石黒章夫
    • Organizer
      第35回自律分散システム・シンポジウム
  • [Presentation] コオロギの種内闘争における攻撃の運動解析2023

    • Author(s)
      村田彰久,竹本夏奈子,青沼仁志
    • Organizer
      第35回自律分散システム・シンポジウム
  • [Presentation] 昆虫の攻撃行動を調節する脳内生体アミン2023

    • Author(s)
      青沼仁志
    • Organizer
      応用動物昆虫学会(小集会)
    • Invited
  • [Presentation] Quantitative analysis of the fighting behavior in the cricket2022

    • Author(s)
      Akihisa Murata, Kanako Takemoto, Hitoshi Aonuma
    • Organizer
      日本比較生理生化学会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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