2023 Fiscal Year Annual Research Report
Sediment transport model considering SGS classification and its application to fine sediment dynamics in a watershed
Project/Area Number |
22H00228
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
内田 龍彦 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (00379900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 卓也 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (20647094)
溝口 敦子 (寺本敦子) 名城大学, 理工学部, 教授 (40362280)
音田 慎一郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50402970)
河原 能久 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 名誉教授 (70143823)
横嶋 哲 静岡大学, 工学部, 准教授 (80432194)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | SGSモデル / 細粒土砂 / 蛇行流路 / 通砂能力 / 樹木 / 二次流 |
Outline of Annual Research Achievements |
河川における土砂輸送解析では,土砂の粒径分布,掃流力分布が規定する極めて広い多重スケール現象である点に特徴があり,大きなスケールの中に河川植生,構造物,河床形状などの河川の様々な条件が重なり,問題をさらに複雑化させている.本研究では,申請者らが独自に開発してきた二つの解析法である,利用可能空隙率(AP)理論に基づくオイラー型混合粒径土砂輸送モデル(E-STM)と底面流速解析(BVC)法に基づき,サブグリッドスケールの土砂輸送モデルを検討することで,流域スケールの分級作用を解析できる広域の細粒土砂の動態モデルを構築し,検討することを目的としている.本年度は初年度の開発ステージの基礎的な研究を発展させ,以下の検討を行った. 河床の運動学的境界条件を考慮した粒子の空間平均連続方程式から理論的に連続方程式を導出し,交換層モデルに基づく連続方程式と比較することで,混合粒径河床の連続式の本質的な問題点を示し,AP理論の有用性を明らかにした.また,粒度分布だけでなく,一様粒径の空隙率を用い,堆積状態による空隙率の変化の評価法を提案した.さらに,粗粒子を含む河床における細粒子に作用する掃流力算定のための流速鉛直分布を検討した. 蛇行流路における二次流による底面せん断応力の増大機構を実験的,数値的に明らかにし,さらに流路蛇行による土砂輸送能力についても考察した.さらに湾曲,蛇行流路に繁茂する樹木が二次流に与える影響を明らかにし,準三次元解析における樹木抵抗評価法を検討した. 段波ー樹木ー細粒土砂の相互作用については,これらの相互作用を実験により検討し,その数値解析法を開発した.実河川への適用のために,二相流モデルに基づく浮遊砂浮上量式をBVC法に導入し,河口部の細粒土砂輸送解析法を検討した.さらに中長期の河床変動解析法を実施するために,洪水流と河床変動解析の新しい加速計算法を開発し,検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しい混合粒径モデル(AP理論にE-STM)を洪水流のマルチスケール解析が可能なBVC法へ導入するために粗面抵抗を改良する基礎理論が必要であったため,ベースとなる混合粒径解モデルの構築がやや遅れ気味である.しかし,樹木の影響の評価や浮遊砂解析法などについて,砕波などによる細粒土砂の巻き上がりなど,乱流によるミクロスケール現象の評価に課題を残しているものの,洪水流解析に導入できるレベルまで開発ができた.さらに,流域スケールの土砂輸送解析において必要な計算の高速化について,研究当初のサブグリッドスケールモデルだけでなく,時間的なマルチスケール現象を考慮した加速法が可能であることに気づき,その方法を用いた高速計算が実施可能であることなど,当初計画以上の成果も得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
粗度層内の流速鉛直分布と乱流分布の評価法をさらに検討し,混合粒径河床における各粒径に作用する掃流力の評価に繋げ,土砂輸送モデルを定式化する.そして,浮遊砂も組み合わせてオイラー型混合粒径連続式と組み合わせたE-STMを確立し,BVC法や二次元,解析法に導入し,様々なスケールにおけるサブグリッドスケール土砂輸送モデルを検討する. 蛇行流路における三次元流ー樹木ー土砂輸送の相互作用について,実験を行い,解析法を検証する,さらに,実河川における細粒土砂を含めた混合粒径土砂輸送解析法を実施する.併せて,砕波による乱れの評価法とそれが土砂輸送に与える影響を明らかにする. これらの細粒土砂モデルによる中,長期的な地形変化予測を行うための時間のマルチスケールに着目した高速計算を引き続き検討する.令和6年度は洪水流解析の高速化と併せ,地形変化と流れの応答速度の違いが解析結果に及ぼす影響を解明し,地形変化解析の高速化法を検討する.
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