2022 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける工匠関連史料にもとづく建築生産史の再構築と技術蓄積・伝播の解明
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22H00231
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
海野 聡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00568157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 麿充 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (00416265)
角田 真弓 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 技術専門職員 (20396758)
清水 重敦 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (40321624)
登谷 伸宏 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 准教授 (40447909)
小柏 典華 芝浦工業大学, 建築学部, 助教 (40843503)
藤井 恵介 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 名誉教授 (50156816)
岸 泰子 京都府立大学, 文学部, 准教授 (60378817)
田島 公 東京大学, 史料編纂所, 教授 (80292796)
加藤 悠希 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (80790815)
新井 重行 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (60396934)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 東アジア / 宮殿 / 工匠 / 大工道具 / 建築技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
主たる研究対象である京都御大工中井家関連史料(宮内庁書陵部図書寮文庫所蔵)は、主に内裏造営に関する帳簿・図面類からなり、近世の建築生産および宮殿建築の実態を示す貴重な史料である。デジタル化された史料を建築学的視座から検討を加え、これらのデジタル化史料を用いた具体的な研究手法の提示を目指した。 また近世日本における宮殿研究の観点から、安政度の御所造営を帳簿類から検討し、工匠の組織論が中心であった建築生産研究から作事現場レベルでの実証的な研究に展開を目指した。本研究は史料に対する文理融合研究の有効性を実証的に示す取り組みである。 京都御大工中井家関連史料(宮内庁書陵部図書寮文庫所蔵)の安静度内裏(現京都御所)の造営に関する帳簿類や関連する絵図資料などの分析をおこない、下記の研究会や国際研究集会において、研究成果を公開した。 「中井家文書」を購読する研究会を8回(各回3時間程度)開催した。これらの精読の成果を2023年12月9日、京都御所において、購読した史料に関連する東北隅築地、穴門などの現地調査を行い、比較検討をおこnった。翌10日には京都府立京都学・歴彩館にて、国際研究集会「御所(宮殿)・邸宅造営関係資料の地脈と新天地(3)」を開催し、近世の建築生産システムおよび東アジアの大工道具に関する議論を重ねた。本成果は予稿集として刊行し、公開している。また11日には、近世建築で、幕府による造営と関係の深い上賀茂神社の社殿軍の調査をおこなった。 また東アジアの建築技術の伝播に関する比較検討のため、「古代東アジアの建築技術・情報に関する国際学術会議」を2023 年3月5日(日)に韓国建築歴史学会会議室で開催し、各国における技術伝播と独自の技術の存在を確認し、現存建築以外の研究の視座を共有した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、定期的な精読会を開催できている。また当初予定では国内シンポ1回、国際研究集会1回を予定していたが、国際研究集会を2回開催することができた点は、想定以上の成果を上げていると評価できる。 また中国における現地調査は現地の状況によりやや遅れているが、韓国における調査をおこなうことができ、新たな成果を獲得している。 なお当初予定していなかった、教育的波及事業として、連続講座「中井家文書からみる近世内裏造営体制の特質」を主催:京都府立大学文学部歴史/東京大学史料編纂所、共催:京都府立京都学・歴彩館/京都工芸繊維大学デザイン・建築学系、協力:本科学研究費/東京大学史料編纂所共同利用・共同研究拠点2022 年度一般共同研究「中井家文書」を中心とする建築関連史料の高度資源化と活用」で行うことができた点を付記しておく。
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Strategy for Future Research Activity |
現状、順調に進んでいるため、 懸念であったコロナ禍における中国の現地調査が行えないという課題も解消されつつあり、当研究室に在室する中国人研究者の協力(謝金作業)を加え、日本国内で入手できる中国関連史料の収集に努め、調査準備を進める。状況が改善次第、中国における調査を計画する。 また2022年度と同じく、国際研究集会を開催し、古代における東アジアの建築技術の伝播および日本建築の特質について明らかにする予定である。
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Research Products
(27 results)