2022 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding plasma turbulence in Hall thrusters
Project/Area Number |
22H00243
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 直嗣 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (40380711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 大介 中部大学, 工学部, 准教授 (60645688)
小菅 佑輔 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (00700296)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 異常輸送 / ホールスラスタ / プラズマ乱流 / プラズマ計測 / 原動機・推進 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで構築したマイクロ波干渉法を用いた揺動計測システムではアンテナ形状の制約のため、十分な空間分解能が得られなかった。そこで空間分解能向上を目指し、形状を変更したアンテナを用いて予備実験を行い、空間分解能が向上したことを確認した。そこでホールスラスタで見られる揺動の波数および伝搬方向を観察するため、プラズマの密度揺動を周方向多点計測した。多点計測の結果として、磁場が弱い条件下において、E×B方向に伝搬するモード数3-11のいわゆるRotating spokesと呼ばれる揺動を確認した。一方で異常輸送と関係が深いと考えられている数百KHzの揺動が中性粒子の密度勾配に起因するプラズマ密度勾配を駆動力とするgradient drift instability とするモデルに基づき、数百kHzの揺動の波数は20m-1程度として、この波数を計測すべく、周方向複数点観測を試みたところ、当初想定していたよりも擾乱の波数が大きいことを示唆する実験結果が得られた。 そこで、波数の大きい擾乱が計測できる計測システムの構築並びに、そのシステムが使えるホールスラスタの開発を行った。具体的には、市販のマイクロ波解析コードを用いて、マルチアレイ化したアンテナの形状の最適化を行い、波数150m-1以上の観測が可能であることを確認した。並行して、マルチアンテナで内部の計測が可能なホールスラスタの設計を行った。計測装置であるマルチアンテナをスラスタ内部に導入する必要があったため、従来型の円形形状ではなく、レーストラック形状のプラズマ生成領域をもつホールスラスタを磁場解析や熱解析も行いつつ、新たに開発した。 またホールスラスタの観測データから特徴を抽出するためのリザバーコンピューティングの開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンテナ形状の変更および多点観測を通して、揺動の波数同定に成功しており、物理の理解が進んだ。また、想定していた波数の揺動が観察されなかったため、観測手法を一から見直し、波数の観測領域を従来から大幅に改善することに成功した。さらにその観測に必要なレーストラックホールスラスタの新たな開発にも成功している。またリザバーコンピューティングを用いた特徴量の抽出にも成功している。
以上の理由により、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
改良したマイクロ波干渉計測システムを用いて、新規開発したレーストラック型ホールスラスタ内部のプラズマ揺動計測を行う。数値解析の結果で得られた最適な形状のアンテナは、通常の加工では不可能な形状であるため、金属3Dプリンタを用いて造形し、性能試験を行う。自由空間内での検証を進め、問題がなければ、スラスタに設置し、プラズマのない状態での計測を行い、さらにホールスラスタを作動させて、プラズマ揺動を計測する。並行して、レーストラックホールスラスタの作動範囲及び性能を確認する。 数値解析においては、引き続き、電場に起因する不安定性(イオン音波等)を中心にモデルの構築を進め、第一原理数値計算との比較を進める。また、第一原理計算の改良を進め、MHz帯よりも低周波側の揺動も観察できるようにする。さらに、これまでポスト処理で算出していた物理量の算出をリアルタイム処理に変更し、いわゆるレイノルズ応力の影響を精査できるように第一原理計算コードの改築を進める。
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