2023 Fiscal Year Annual Research Report
不完全空間情報による空間推論のためのツールボックスの開発と応用
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22H00245
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
奥貫 圭一 群馬大学, 情報学部, 教授 (90272369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正一郎 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 名誉教授 (50218616)
関野 樹 国際日本文化研究センター, 総合情報発信室, 教授 (70353448)
矢野 桂司 立命館大学, 文学部, 教授 (30210305)
中谷 友樹 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (20298722)
桐村 喬 京都産業大学, 文化学部, 准教授 (70584077)
貞広 幸雄 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (10240722)
小口 高 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (80221852)
山田 育穂 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (00594756)
浅見 泰司 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (10192949)
薄井 宏行 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70748219)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 空間情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,不完全な空間情報を有するデータの収集と整理,位置関係を扱う新たな手順と方法の考案,新たな方法を実践するツールボックスの実装を行った。研究対象データとしては,景観写真のような画像情報,Webニュースなどの文字情報のほか,位置座標の情報が誤っていたり,欠落していたりする地理空間情報全般を対象として検討している。具体的には,以下に示すような,さまざまな研究分野で扱われている空間情報について,その扱いを考えている。 1)日本語・英語・スペイン語Webニュースの文字情報を対象とした,トピックモデルを用いた内容分析。2)不完全な時間(文字)情報を扱うため,始めと終わりが具体的な日付ではなく別の期間で相対的に指定されている期間を時間軸上に位置づけるための仕組み。3)断続的に取得されたリモートセンシングのデータや確実度が限られた古代の考古遺跡データを用いて解析を行う技法。4)フォトグラメトリによって作成した3次元モデルおよびDSM(数値表層モデル)による災害時建物被害の状況把握。5)過去の不確かな地理的環境情報を保持する外邦図の画像資料データベースを,CloudベースのGISを利用して構築。6)過去のフィールドワークで撮影して蓄積された景観写真をジオコーディングする試み。7)データの信頼性に地域差がある場合に,これに対して空間的自己相関検定を統制する方法。8)計算負荷の小さい新たなGWR(地理的加重回帰)分析法としての,確率勾配に基づくsgGWR(stochastic gradient GWR)分析法の開発。9)交通事故などのイベントについて,その頻度が最も高くなる期間を抽出し,空間的に可視化する手法の開発とその実装。10)都市内建物の隣接関係に着目して,建物群の調和度を表す指標の値をGISデータから計測する方法の開発とその実装。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに空間情報を扱ういくつかのツールが実装・提供されていることに加えて,実装の検討が進んでいるツールもあり,さらに,空間情報を扱う手順を解説した講習会の開催や書籍の出版がなされているため。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに実装されたツールもあり,当初の予定どおり,位置関係を扱う新たな手順と方法の応用と検証,それを実践するためのツールボックスの実装と検証を,それぞれ進めていく予定である。加えて,ここまでに実装されたものについては,その経験をフィードバックして,手順や方法を見直す作業を進めていく。たとえば以下にあげる内容を試みる予定である。 1)Webニュースの文字情報を対象とした内容分析のアルゴリズムおよびツール機能の拡張。2)不完全な時間(文字)情報を扱うため,Allenの区間代数で表現された様々な期間間の位置関係に基づき,相対的に指定されている期間を時間軸上に位置づけるための仕組みの開発と公開。3)自然地理学や防災に関する研究と教育を対象に,空間解像度や時間解像度が限られたデータを有効活用する方法の検討と知見の体系化。4)フォトグラメトリによって作成したDSMが古いものほど誤差の大きいことを考慮に入れた分析手法の開発。5)外邦図の画像資料データベースを拡充していくとともに,データベース構造の見直しと画像の幾何補正法の検討を進める。6)景観写真をジオコーディングする試み。7)分析対象地域の設定が局所的な空間解析に及ぼす影響の検討。8)地域の中心をとらえる手法と,そのための距離の計測法の検討。9)店舗とその顧客分布,犯罪者の居住地と犯行地点のような,単独の参照点と点パターンとの空間的関係を分析する手法の開発。10)都市内建物の隣接関係を多様な定義によってとらえる手法の検討。
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