2022 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical modeling of microstructural evolution driven by interface dynamics without local equilibrium
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22H00252
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大野 宗一 北海道大学, 工学研究院, 教授 (30431331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁田 靖 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (90401124)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | フェーズフィールド法 / 分子動力学法 / 居所平衡の破れ / solute trapping / 組織形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、金属材料の組織形成における拡散場の局所平衡の破れを取り入れた数理モデルの構築と組織形成問題の解析である。まず、定量的フェーズフィールド・モデリングを局所平衡仮定を課さずに変分原理から導出する新しい方法を開発する。そして、そのモデルに入力する非平衡な界面物性値を分子動力学法から算出する方法を発展させる。このアプローチを凝固、固相変態における組織形成の解析に応用し、従来のモデルでは解析不可能だった組織形成問題の解明に取り組む。 初年度は、局所界面の破れを考慮した定量的フェーズフィールド法を熱力学ポテンシャルの変分原理に基づいて導出した。Ginzburg-Landau型の自由エネルギーから、二相の濃度を独立に扱うtwo-phaseアプローチに基づいて、秩序変数、固相濃度、液相濃度の時間発展方程式を導出した。方程式の漸近解析から、これらの方程式が自由境界問題と矛盾しないことが確認され、定量的フェーズフィールド法が定式化された。特に、この手法においては、solute trapping及びsolute drag効果といった界面非平衡効果が自然に考慮されており、その形式は従来の理論モデルの多くを特殊解として含む一般的な形式であった。これにより組織形成シミュレーション手法が構築された。そして、これを数値計算で解くためのコーディングも実施した。また、上記の定量的フェーズフィールド法には非平衡状態の界面物性値を入力する必要があるため、原子レベルの手法である分子動力学法を使ってAl-Cu合金のAl-rich固溶体の凝固における界面移動をシミュレートし、種々の温度と合金組成における濃度分配の解析から界面拡散係数を算出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた組織形成モデリングが完了した。solute trappingとdraggingが自然に導入された形式であり、2022年に海外で開発された理論的アプローチとも符合する数理モデルができた。また、分子動力学法によって固溶体の凝固を計算することも可能になり、従来よりも高精度に濃度分配が計算可能なった。これらの成果をもとに次年度以降の研究が実施可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に構築した組織形成シミュレーション手法を使ってsolute trappingとsolute draggingの解析を実施する。1次元系を使って平滑界面移動を対象に合金凝固における非平衡効果の詳細を解析する。過去に報告されている実験データと比較検証して、モデルの妥当性を調査する。また、分子動力学法による界面移動の解析を引き続き実施し、界面拡散速度の温度、濃度依存性を調査することで、上述の組織形成モデルに入力する物性値の詳細を明らかにする。
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Research Products
(4 results)