2022 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒を第二相とする省資源型高耐食ステンレス鋼の創製とナノレベル電気化学反応解析
Project/Area Number |
22H00254
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武藤 泉 東北大学, 工学研究科, 教授 (20400278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 昌史 東北大学, 工学研究科, 助教 (20880967)
菅原 優 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40599057)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腐食防食 / 触媒 / 耐孔食性 / 硫化物系介在物 / マイクロ電気化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
省資源型高耐食ステンレス鋼を創製するための新しい学理構築と、それを可能とする「ナノレベル電気化学反応解析」の確立を目的とし、その第一ステップとして、その場観察機能付きナノスケール電気化学解析システムを開発し、第二相の防食機能を解析する際の有用性を確認した。具体的には、スーパー二相ステンレス鋼の時効材の耐孔食性が溶体化材に比較して低い理由が、σ相の周囲にCrとMo量が低い新たな相が形成されることに加え、その部分に硫化物系介在物が存在するためであることを見出した。また、SUS304ステンレス鋼の孔食発生電位が高温ほど低下する理由が、孔食の起点となる硫化物系介在物の溶解電位が、温度の上昇に伴って低下することと、介在物の溶解に伴い鋼と介在物の境界部に閉塞された形状が形成された場合に、高温ほど局部的な活性溶解が起こりやすいためであることが分かった。さらに、開発したシステムは、Al合金の金属間化合物のように、アルカリ性から酸性までの広い範囲で表面のpHが変化する現象に対しても、腐食機構を的確に把握できることを確認した。以上は、いずれも今までのマクロスケールの計測では見出すことができない新知見であり、S酸化光触媒相を設計するための有用な知見である。 次いで、S酸化光触媒相を内包するステンレス鋼の作製の予備検討を広範囲に行った。ステンレス鋼に知見を生かすため、Al合金やMg合金に対しても研究を展開した。その結果、溶解・鋳造プロセズでは、母相に固溶してしまう相を、第二相として含むステンレス鋼を放電プラズマ焼結で作製する手順を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
その場観察機能付きナノスケール電気化学解析システムの開発が早期に完了し、第二相の防食機能を解析する際の有用性を確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
イオンクロマトグラフィなどの手法を駆使し、孔食発生におけるSと塩化物濃度の変化を、触媒作用や化学種のインヒビター作用と関連付けて解析することを試みる。また、各種の化学種が存在する溶液中でインデンテーションを行い、鋼の新生面を露出させ侵食挙動を電気化学的に解析することで、無害化すべき対象のイオンを絞り込む。
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