2023 Fiscal Year Annual Research Report
光触媒を第二相とする省資源型高耐食ステンレス鋼の創製とナノレベル電気化学反応解析
Project/Area Number |
22H00254
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武藤 泉 東北大学, 工学研究科, 教授 (20400278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 昌史 東北大学, 工学研究科, 助教 (20880967)
菅原 優 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40599057)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 腐食防食 / 触媒 / 耐孔食性 / 硫化物系介在物 / マイクロ電気化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
触媒機能をステンレス鋼に付与し、孔食起点であるMnSを無害化できる新材料作製のために、「溶解-凝固-熱処理」という通常の鋼作製工程では不可能な「非平衡組織」を放電プラズマ焼結法で作製する技術を確立した。具体的には、ステンレス鋼粉末とMo粉末を混合し、焼結することで、Moをコアとして、MoとCrを含有した金属間化合物相をシェルとするコア/シェル粒子をステンレス鋼内部に分散させることに成功した。焼結後の熱処理を工夫することで、Mo濃化コア/シェル粒子を孔食成長のバリヤーとすることで耐食性が向上することを見出した。さらに、特殊な熱処理を施すことで、腐食環境においてコアのMoが徐々に溶出することで、MnS起点の孔食を抑制できるという新しい防食技術を開発した。開発したステンレス鋼の耐食性を、乾湿繰り返し試験と動電位アノード分極により評価した。その結果、同程度のMoを固溶したSUS316Lステンレス鋼を上回る高い孔食電位と耐さび性を発揮できることを見出した。Al合金などでも第二相を利用する合金作製法を行い、基礎的知見を得た。 S酸化光触媒相を内包するステンレス鋼の作製として、TiO2などを触媒活性のある物質をステンレス鋼などに内包させる実験を行った。その結果、炭化物や窒化物などのステンレス鋼に固溶しにくい粒子が好適であるとの知見を得た。さらに、酸化物においては、それ自体がCrにより還元されにくい必要があることが分かった。 また、光触媒粒子を含有したステンレス鋼を放電プラズマ焼結で作製する前段階として、各種の化学種に対して、それらがステンレス鋼のMnSから生成するSを、どのような化学種・酸化状態に変化させるのかと、ステンレス鋼への侵食性を系統的に調査した。その結果、硝酸イオンがS系化学種の侵食作用を軽減できることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「溶解-凝固-熱処理」では作製不可能な「非平衡組織」を放電プラズマ焼結法で作製する検討を行っているなかで、コア/シェル粒子をステンレス鋼内部に分散させる技術を確立することができた。今後、この手法を光触媒粒子に応用することで、当初の予想以上に高い機能をステンレス鋼に付与できる可能性があることを見出せた。
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Strategy for Future Research Activity |
放電プラズマ焼結で光触媒相を有するステンレス鋼を試作する。光照射下で動電位分極曲線を計測し、S酸化光触媒相の最適化を行う。溶液Cl-濃度と液温の影響も含めS酸化光触媒の高耐食化効果を検証すると共に、改善を行う。光触媒粒子は、ナノサイズでの均一分散が必要であると思われるので、鋼粉末とのボールミリング後に焼結するなどの手法を検討する。
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