2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22H00274
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 寿雄 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (80273267)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥村 光隆 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (40356712)
藤田 健一 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (80293843)
熊谷 純 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (20303662)
古南 博 近畿大学, 理工学部, 教授 (00257966)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 第1級アミン合成 / 光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
第1級アミンは医薬・農薬・機能性材料・樹脂の合成のための中間原料として広範囲に使用されるがその合成は容易ではなく,副生物を生成せずかつ簡易な合成手法の開発が望まれている.最近申請者らは,アンモニア水を窒素源としてアルケンから直接に第1級アミンを高収率で与える光触媒的ヒドロアミノ化反応を見出した.本反応は温和な条件で副生物もなく第1級アミンを与え,かつ反マルコフニコフ生成物を選択的に生成する点が興味深く有意義である.本申請研究では,この発見を光触媒的有機合成反応の実用化への第一歩であると考え,光触媒とアンモニアを用いた新規で高効率・高収率な第1級アミンの合成反応を開発・発展させ,新たな学理として体系化し社会実装を目指すこととした. 令和4年度は,芳香環のアンモニア水によるアミノ化に挑戦しつつ,アンモニアの代わりにアニリンを用いた二量化による第1級アミンの合成もあわせて検討した.アニリンの二量化では想定通り第1アミンがある程度の選択率で得られたため,照射波長や反応温度の影響を検討し,同位体を用いた速度論解析も行い,アニリンのアミノ基が活性化されてベンゼン環に付加脱離機構で反応が進行することが示唆され,一定の成果を得ることができた. 一方で,研究分担者と共に電子スピン共鳴分光によりトラップ試薬を用いた反応中間体の検出を試みたがかなり困難であることがわかり,存在が想定される中間体は光触媒反応を室温で行う場合には不安定で化学反応性が高く寿命が短いことが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年12月までに、事前準備、ヒドロアミノ化の基質範囲の拡大、基質範囲拡大と同位体解析を行い、令和5年3月までに、実験データの分析、研究成果取りまとめを行う予定であった。しかし,コロナ感染症蔓延の影響もあり令和4年9月に実施予定の基質範囲拡大と同位体解析について担当予定だった研究協力者の参画が遅れて実施できなくなった。したがって延期して実施する必要が生じた。令和4年11月に研究協力者の参画により基質範囲拡大と同位体解析を開始した.また,当初計画していたアンモニアによるアルケンへの付加による第1アミン合成における基質の適応可能性の拡大は予想以上に困難であったことので,予算の繰り越しを申請しかつ研究計画を変更したため,成果を得るのがやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度以降は,以下の項目について検討することを計画した. 【第1アミン合成の基質範囲の拡大】芳香族化合物のアンモニアによるアミノ化の高効率・高収率化を引き続き検討する.具体的には様々な置換基を持つ芳香族に対して高収率が得られるように触媒および条件を最適化する.【新規触媒開発】光触媒で活性化させて得られたラジカル種と芳香環を含む分子との間の反応を加速させる触媒としてパラジウムが有効であることが見出されたのでこれに第2成分を加えた触媒を共存させた反応系を検討する.これらの触媒の構造解析と構造活性相関の検討を進める.【同位体解析による律速段階の検討】重水素化した反応基質を用いて同位体効果を解析し律速段階を検討する.【生成する有機ラジカル種の解明】光触媒反応で生成するラジカル中間体をESRで解明し副反応の反応機構を解明する.【アンモニア分子の活性化機構の解明】酸化チタン表面上におけるアンモニア分子の吸着と活性化機構の詳細を計算化学により解明する.【光触媒の結晶化】これまでに別の反応系のために開発してきた適度な比表面積と高い結晶性を有したチタン酸微結晶光触媒を試すとともに,アナターゼ微結晶酸化チタンを合成し光触媒活性を評価する.
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