2022 Fiscal Year Annual Research Report
液中原子分解能探針増強ラマン分光顕微鏡による電極・触媒反応機構の解明
Project/Area Number |
22H00294
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 圭 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40335211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 雅満 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40220743)
原 正則 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40457825)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 探針増強ラマン分光 / 触媒 / 電極反応 / ナノカーボン |
Outline of Annual Research Achievements |
現有の大気中動作用AFM-探針増強ラマン分光法(TERS)装置について、現状のTERS励起・検出系を最適化した。また、光学系の性能を計測して問題点を把握し、それを踏まえてTERSに対応した液中AFMヘッドの光学系の設計を開始した。さらに、励起光照射位置の調整およびTERS信号と距離依存性(1次元マッピング)および表面形状との相関計測(3次元マッピング)を迅速に行えるようにソフトウェア環境を整えた。TERS探針に関しては、市販のカンチレバーに金薄膜をコーティングし、集束イオンビーム(FIB)加工を施した準間接照射型TERS探針を試作し、AFM-TERSとしての動作確認を行い、金基板上の4-PBT分子のTERSスペクトルの取得に成功した。また、探針への4-PBT分子の付着によりTERS信号強度が落ちた場合に、UV光照射により4-PBT分子を除去することでTERS信号が回復することを見出した。一方、Au-Ag合金粒子を探針先端に付着させた直接照射型TERS探針について、その作製条件を最適化し、30日間という長時間経過後も増強度が持続することを確認した。モデル試料については、TERSの応用先の一つであるLiイオン二次電池の電極反応の直接観察について、その基礎データの取得を進めた。具体的には、グラフェンやカーボンナノチューブで修飾した電極を用い、Liイオン二次電池の特性の評価、さらには全固体電池への適用を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大気中AFM-TERS装置において励起光照射位置走査用の3次元スキャナを設置し、励起光照射位置を最適化できる仕様とした。また、フォースカーブや表面形状像と同時にTERSスペクトルを測定する、1次元・3次元のTERSマッピングを実現した。また、直接照射型合金探針の再現性の実証実験およびラマン顕微鏡としての空間分解能の確認を行っている。一方、垂直配向したカーボンナノチューブ(CNT)を用いたLiイオン二次電池用の電極では、CNTの成長量に依存性して電池容量が増加するため、高容量の電極開発に向けてCNT成長量を増やすための合成条件の最適化を行った。さらに、全固体電池の負極に合成した垂直配向CNT修飾電極を用いた電池において充放電反応が進行することを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、TERSに対応した液中AFMヘッドの光学系の設計を完了し、試作する。また、液中FM-AFMとしての装置性能評価を行う。準間接照射TERS探針について、集束イオンビーム加工条件を最適化し、貴金属基板上の分子や酸化グラフェン等のTERSマッピングを行う。また、直接照射型探針については、他波長でのTERS増強対応も考え、Au-Ag以外の合金の開発も進め、化学的安定性や空間分解能を評価する。一方、TERS測定のターゲット試料となるCNTなどのナノカーボンを用いたLiイオン二次電池や全固体電池用の電極材の合成条件の最適化を進め、高容量な電極の開発を行う。また、顕微ラマン分光法を用いた電極上での充放電過程のその場観察およびマッピング測定を行い、充放電反応での参照用のデータ取得を行うとともに、マクロな反応現象の解明を行う。
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Research Products
(36 results)