2023 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of functional properties of nanoscale interfacial water by nonlinear spectroscopy
Project/Area Number |
22H00296
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
杉本 敏樹 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 准教授 (00630782)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 水分子 / 水素結合、 / レーザー分光法 / 非線形分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
水分子は種々の物質の表面に凝集・水和し、そのヘテロ界面は環境エネルギー分野においては水分解反応などの基盤的な化学技術の舞台である。ナノ界面水の化学的機能は、多体の水分子が織りなす協同的な水素結合ネットワークの構造・ダイナミクスが根源にあると考えられるが、その様相を分子スケールで克明に捉えることは困難である。そこで本研究では、水溶液環境で動作する電気化学デバイス系に対する新たなオペランド界面分子計測を実施し、界面水の水素結合ネットワーク構造及びダイナミクスと化学的機能の相関を解明することを目的とする。 本年度は、昨年度に引き続き、高次非線形分光法のベースとなる非線形光学過程について、チャープ補正した白色光をストークス光として用いる3パルス法に立脚して、時間領域分光法と周波数領域分光法をハイブリットさせた新方式の計測スキームの高度化を図った。これにより、Au等の金属電極のみならず、モデル炭素電極材料系に対しても非共鳴バックグラウンドの強度を大幅に低減させる事に成功すると同時に、その強度を適度に調整することで、局所振動子(LO)として液中界面由来の振動応答信号を増感させることにも成功した。また、更なる計測の高感度化を想定し、1MHz程度の高繰返し領域でOPAにる出力光をストークス光として用いる3パルス法に立脚した分光システムも新たに構築した。さらに、3つのパルスの集光スポットにおける波面を適切にエンジニアリングすることにより、界面信号の更なる高感度計測が可能になることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チャープ補正した白色光をストークス光として用いる3パルス法により、比較的簡便に広い帯域の界面信号の観測を一度に行うことが可能になった。また、高繰返し領域でOPAによる出力光を用いた分光システムの増築により、更なる計測の高感度化に向けた重要な実験基盤を構築することができた。Auや炭素電極による表面界面信号を計測することに単に成功するのみならず、集光スポットの波面エンジニアリングにより界面信号の更なる高感度計測を可能にするノウハウを構築することにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に構築したチャープ補正した白色光及び高繰返OPAによる出力光を用いた3パルス非線形分光システムを用いて、Auや炭素材料系などの重要な電極に注目し、界面のオペランド計測を系統的に実施する。
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